気になるギタリスト124回目。
今回は、60年代後半から爆発的人気を誇ったアメリカのバンド「The Doors」のギタリスト、「ロビー・クリーガー」です。

「The Doors」という名は、ファンの方でなくても一度は聞いたことのある有名なバンドであると思いますが、実は少々変わった構成の4人組でした。
ロックスターは27歳で死亡するというジンクスの一人ともなっている、有名なボーカリスト「ジム・モリソン」。
後に、ロビー・クリーガーと再び活動をすることになるキーボーディスト「レイ・マンザレク」。
元々は、ジャズ志向であったドラマー「ジョン・デンズモア」。
そして、ギタリストの「ロビー・クリーガー」の計4人。
そうです。なんと、ベーシストの居ないバンドなのであります。

無論、キーボードがベースの音域をカバーするような事は可能ですが、この少々変わった編成とジャズ志向のドラマー。
そして、ロビー・クリーガー自身もフラメンコギターがそのルーツであるという事から、他にはない音楽性を持ったバンドとして注目される事になったのです。
事実、ロビー・クリーガーの演奏スタイルや指使い等は、フラメンコギターを髣髴とさせるものであり、当然独特なフレージングとして人々を魅了していく事となります。
しかしそれは、ギター愛好家からの目線であり、Doors時代にはもっぱらソングライターとしての評価が高かったと言われております。
変わったバンド編成であれば、それだけ注目されるのは当然としても、そこにカリスマ性が無ければ、曲が良くなければ売れないのは当たり前ですので、ロビー・クリーガーのこの評価もごく自然なものなのかもしれません。

しかし、大人気となった彼らも僅か5年程の短い期間で、ジム・モリソンの死と言う突然の出来事からバンドは解散。
彼らだからこそ出来たバンド活動は、その誰か一人が欠けても立ち行かなかったのです。

2000年代に入り、ロビー・クリーガーとレイ・マンザレクが「21世紀のドアーズ (The Doors 21st Century)」としての活動を開始したりもしましたが、そこにドラマー、ジョン・デンズモアの姿は無く、ロビー・クリーガーのバンドで活躍していたベーシストを招き入れるなど、Doorsとは全く違う形での活動形態となっていました。
ボーカリストが違うというのは大きな差でありますが、それ以上に違うバンドへと変化した形だったと言えます。
しかし、Doors解散から長い年月を経ている間に音楽は常に変化をしているという事を考えれば、この新しい形を肯定的に受け止める声も多かったのも事実であります。
新生Doorsの活動は、2013年にレイ・マンザレクが死去するまで続いていたというのも、その証拠であると思います。
フラメンコをルーツに持つギタリストでありながら、ロックギタリストとして一時代を築いたロビー・クリーガー。
そんな彼のルーツを想いながら曲やフレーズに注目してみると、また新たな魅力が発見出来る様な、そんなギタリストであると思います。