メジャースケールの1オクターブの中に含まれる音符はたったの7つなわけで、それを幾らこねくりまわそうが、いつか誰かと誰かの作ったメロディーが似たような物になってしまうこともあるわけで。
音楽家は、それをまた和声や和音進行でこねくりまわし、楽器編成を買え音色に変化を加えたりしながら、別のイメージを作り出そうと苦心したりするのが音楽の常であると思われます。
既に、音楽としてのアイディアはクラシックの時代に出尽くしたと仰る方もいます。
使える音符の少なさや人が聞いて心地よいと思える和音進行などの制約がある以上、あながち否定出来ない事実であるかもしれません。
しかし、現代において完全な新曲なんてありえないんじゃないの?といった概念を逆手に取って、有名な曲を拡張させた様な曲を作り出したり、ある特定のイメージを想起させるべくあえて似たイメージの曲を作り出したりと言った事が出来るのも音楽の面白い所だと言えます。
先日、テレビを見ていたところ、ある女性アイドルグループの新曲告知CMが流れました。
何気なく見ていた私は、サビ?の部分らしき其の曲に箸が止まりました。
あれ?
星の数程とは言えませんが、クラシックやらロックやら好きで色々な曲を聴いてきた私です。
テレビから流れるアイドルグループの曲が、何処か何かの曲と脳内でリンクしたのです。
なんだろう?と考える事数秒、テレビCMに映し出された曲名がちょっとしたヒントにもなって思い出す事が出来ました。
流れていたCMは、HKT48というグループの「メロンジュース」と言う曲です。
失礼ながら私の様なおっさんには、このHKT48というグループが、良く聞くAKB48と何が違うのか、はたまた同じものなのか良く分からないのですが、とにかくこの「メロンジュース」という曲が私の脳内に残るある曲のイメージとリンクした事は確かです。
曲のタイトルが飲み物だったので、飲み物つながりで思い出した其の曲の名は「レモンティー」。
日本ロック界の大御所ギタリスト、「鮎川誠」氏擁する「SHEENA & THE ROKKETS」の有名な曲です。

「レモンティー」は「メロンジュース」とは違って、ハードなロックナンバーですが、サビ?部分のメロディーや曲展開などが聞くものに似たイメージを感じさせるのでしょう。
往年のロックナンバー「レモンティー」のオマージュという、普段アイドルと縁の無いおっさんの耳をも傾けさせようとする、製作側の思惑に思い切り引っかかってしまった感じがします。
改めて音楽とは面白いものだなと感じると共に、こうしたアイドルグループをプロデュースしたり作曲したりしている方々のプロとしての手腕の凄さと音楽的なユーモア精神に関心させられてしまいました。
音楽の面白さはこれだけでは終わりません。
往年のロックナンバー「レモンティー」、実はサンハウスというバンドの曲です。

サンハウスは1970年代に活躍したバンドですが、そのオリジナルメンバーでありギタリストが鮎川誠氏なのです。
「SHEENA & THE ROKKETS」の「レモンティー」は正確にはカバーだと言う事ですね。
更にこの「レモンティー」と言う曲は、ある有名アーティストの曲のオマージュだと言われています。
それは、伝説的なイギリスのロックバンド「The Yardbirds」の「Train Kept a Rollin」と言う曲です。

「The Yardbirds」と言えば、世界三大ギタリストと言われた、エリック・クラプトン、ジェフ・べック、ジミー・ペイジが歴代ギタリストに名を連ねるという全くドリーミーな伝説のバンドです。
伝説のハードロックバンド「Led Zeppelin」の前身となった事でも知られるバンドですね。
そんな「The Yardbirds」の代表曲としても演奏されていた「Train Kept a Rollin」ですが、「The Yardbirds」オリジナルではありません。カバーです。
1950年代に活躍した、ロカビリートリオ「Johnny Burnette Trio」等が既に演奏しています。

しかし、この「Johnny Burnette Trio」の「Train Kept a Rollin」もまたカバー。
一体、何処までさかのぼれば良いんだという気になりますが、恐らく1950年あたりに「Train Kept a Rollin」を発表した ジャンプブルースシンガー/ドラマーの「TINY BRADSHAW」がオリジナルと言える方だと思います。

こうしてみると「Train Kept a Rollin」と言う曲が、実に多くのアーティストに歌い継がれ、時代と共に其の姿を変化させてきたという事が分かります。
「Train Kept a Rollin」~「メロンジュース」という一見全く関係の無い曲同士が、影響やオマージュと言った観点から関連性があると思うとなにやら感慨深い気がします。
ちなみに、「メロンジュース」へと辿りついた流れには別の分岐も存在するわけで、「Train Kept a Rollin」はエアロスミスもカバーしている名曲だったりもします。


楽器の事ならアフターも安心の石橋楽器店!
- 関連記事
-
スポンサーサイト