レギュラーチューニングとは違う変則的なチューニングのご紹介。
今回はLed Zeppelinの名曲「カシミール」でも使われ、変則チューニングの中でも有名なチューニング法と言える「Dモーダルチューニング」です。
先ずは、レギュラーチューニングからDモーダルチューニングへの移行方法から。

この開放弦の各音を六弦から読んで、ダドガド(DADGAD)チューニングと呼ばれる事もあります。
前回取り上げた
オープンDチューニングと良く似ていますが、Dモーダルチューニングでは三弦の調律がレギュラーチューニングと同じGのままです。
まさにDモーダルチューニングの肝は、この三弦開放のG音にあります。
開放弦の和音構成を見ていくと、ルートであるD音と完全五度上であるA音。それに加え完全四度上のG音が鳴る事になります。
開放弦を鳴らすとDsus4(四度係留)の和音になっていると言うわけです。
sus4と言う和音は、和音の調性を決定付ける三度音程の代わりに完全四度が加えられたコードですので、メジャーでもマイナーでも無い独特の響きがあります。
この為、Dモーダルチューニングは、特有の民族音楽的な雰囲気を醸し出します。
名曲「カシミール」でもそういった雰囲気を存分に感じ取る事が出来るのではないでしょうか。
「カシミール」は少々変わった作られ方をしていて、ジミー・ペイジがDモーダルチューニングのギターで気になるフレーズを録音し、それを組み合わせる事によって作られたそうです。
ミニマルミュージック的なアプローチの仕方と言えるかもしれません。
こうして出来上がった曲は、Dモーダルチューニングの独特な雰囲気と単調ともいえるコード進行、時に劇的に変化する構成で、実に壮大な雰囲気を持ったものとなっています。
では、Dモーダルチューニングを実際どんな風に使っているかを「カシミール」に出てくるコードで確認してみましょう。

イントロの印象的なリフ部分は、3~5弦のフレーズなのでレギュラーチューニングと変わりません。
その後の曲展開部分で上記コードが出てきます。
開放弦を上手く使い、独特な響きとコードに表情をつけているのが分かります
。
六弦のルート音D、四弦の完全五度上のAは同じまま、三弦と一弦の音程変化でコードの性質を変化させています。
右から二番目のD(-3)は、三度省略の意(Omit3rd)です。厳密には和音と言いがたいのですが、ロックギターではよく見かける5度コード(パワーコード)といった解釈です。
変則チューニングの意義として、コードフォームの簡略化や押弦のし易さというものもありますが、開放弦の活用と響きの変化という目的もあります。
開放弦を交えた独特な響きのコードを模索していくと、Dモーダルチューニングの面白さを更に発見出来るかもしれません。

Roger Mayer / CLASSIC FUZZ

石橋楽器店
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