ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その19。
前回までで、教会旋法の各モードとはなんぞやと言う部分が大体把握出来てきたところで、それら各モードを実際にどう活用していくか?という話題に戻ります。
先ず、以前の
ギタリストのお勉強16で出てきたこんな図を思い出して下さい。

例えば、キーはCメジャー。CM7→Dm→G7なんていうコード進行が有った場合。
そこへギターフレーズをつけてやるならば、CM7の部分にはC Ionianモードを利用し、Dmコードの部分にはD Dorianを、G7コードの部分にはG Mixolydianを使ってフレーズを考えれば、コードとのなじみの良いフレーズが弾けるという教会旋法の活用法です。
勘の良い方は既に大分把握出来てきたのではないでしょうか?
C Ionian・D Dorian・G Mixolydianなんて名前はついているけれども、結局スタート地点が違うだけで、どれもCメジャースケールと音程分布は同じもの。
但し、スケールのスタート地点が変われば聞こえ方は変わるので、結果的に各コードと馴染みの良いスケール(モード)という事なんだな。と。
ハ長調で、FM7コードが出てきたらF Lydian。Emが出てきたらE Phrygian。といった具合に対応するモードを順次使えば良いという訳です。
理解出来てくると実に単純で、それと同時にスケールのスタート地点が変わるだけの変化で音階の聞こえ方が随分と変わるもんだと音の不思議な一面を垣間見る事が出来るかと思います。
しかし、ルールは単純なのですが、教会旋法の各モードを活用するにあたって、まだ注意しなければならない点があります。
コードに対応するモードならば、闇雲に使って良いかというとそうでもないのです。
ハ長調(Cメジャー)におけるダイアトニックコードのⅠ、CM7コードとC Ioniaモードを例に考えてみましょう。

CM7の構成音は、C・E・G・Bの四つ。
次にC Ionian(つまりは一般的なドレミファソラシ)を見てみると、当然C Ioniaモードの中にCM7の構成音と同じ音が含まれていることになります。
赤い○で囲った各音がCM7コードの構成音=コードトーンという事になります。
CM7コードが鳴っている場面で、C Ioniaモード内のこれらコードトーンを使ってフレーズを弾いたとすれば、何等問題なく成立するのはお分かり頂けますね?
問題は、コードトーン以外の三音(D・F・A)です。
メロディ(この場合はフレーズ)はコードの上に乗るという基本的な原則に当てはめて考えると、この三音はコードに対して1オクターブ上と考えられます。
するとD・F・Aの三音は、それぞれ9th、11th、13thという音程になる訳です。
これらをテンションノートと呼びます。
テンションコードなどにも使われるこの”テンション”。和訳すれば「緊張」という言葉になりますが、この場合、コードトーン以外のこれらテンションノートをフレーズに取り入れる事で音に広がりを与える効果を生み出します。
実際にCM7コードが鳴っている上でコードトーンのみでフレーズを弾いてみた場合とテンションノートを含めフレーズを弾いてみた場合を比べてみると、随分と表現の幅に違いが出る事がお分かり頂けるかと思います。
更にもう一点。11thにあたるF音の下にAVOIDと表記しました。
これは、アヴォイドノートと呼ばれる音で、Ioniaモードにおける第四音がそれにあたります。
アヴォイドノートとは、コードとの間に不協和(
短9度)を作りだしてしまう音やコードを濁してしまう増4度音程を産み出してしまう音です。
つまりは、響きを破壊してしまう音なので弾いてはいけない音という事です。
ハ長調でCM7コードが鳴っている場面。C Ionianでギターフレーズを弾く。其の時、Ionian第四音(この場合F音)は使ってはいけないので、フレーズに使える音はC・D・E・G・A・Bの六音という事になります。
教会旋法の各モードには、予めAVOIDノートが設定されています。
耳で音の濁りを探したり、譜面を見て考えたりしなくとも、各モードのAVOIDを覚えておくだけで、コードに対応するフレーズが創作出来るという事になります。
次回は、各モードのテンションノートとアヴォイドノートをまとめる予定です。

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