気になるギタリスト37回目は、1989年のデビュー以来、20年以上の長きに亘りジャパニーズパンクロックシーンをひたすら走り続けて来たバンド「横道坊主」のギタリスト、今井秀明さんです。

1970年代、イギリスで巻き起こったパンクロックムーブメントは世界中へと飛び火し、それこそ星の数ほどのパンクロックバンドが生まれました。
当然、この流れは、わが国の音楽シーンにも多大な影響を与える事となり、メジャーデビューを果たす程の人気となったパンクロックバンドが数多く生まれていきました。
THE MODS、TH eROCKERS、THE STALIN、LAUGHIN' NOSE、THE BLUE HEARTS・・・。
メジャーなパンクバンドを挙げるだけでもキリが無いと思える程です。
そんな、有名ジャパニーズパンクバンドと言える、メジャーデビューを果たしたパンクバンドの一つが「横道坊主」です。

デビュー当時から四人編成のシンプルな構成。
荒々しいサウンドを支える今井氏のギターは、何と五弦。
オープンGチューニングの施された五弦テレキャスターがメインギターという変り種。
金髪を逆立て、ギターを掻き鳴らす姿が印象的でした。
そんな「横道坊主」の楽曲は、中村義人氏の”がなりたてる”様なボーカルとスピード感溢れる曲が在るかと思えば、人の素直な心情を歌い上げるかの様なロッカバラードもあり、またそれらを彩る今井氏の五弦ギターも、五弦ギターらしからぬ迫力と色気を感じさせてくれる魅力的なスタイル。
「横道坊主」は、1989年メジャーデビューですから、時は第二次バンドブーム。
数多くの音楽番組が放送され、それこそジャンルを問わない様々なバンドがしきりにテレビ出演している様な時代でもありました。
ワイルドな見た目のパンクバンドである「横道坊主」ですら其のご多分に漏れず、テレビ出演を果たしています。
バンドメンバーの容姿とは裏腹に、軽妙なトークをする其の姿は意外でもあり、今でも記憶に残る印象深いものでした。
当時のある番組での一場面。
ギタリストである今井氏の五弦ギターについて質問が及びます。
「全部これ(五弦)なの?」「なんで?」という質問に対し、今井氏は「全部これ」「面倒だから」と言った事を照れ笑い(?)を浮かべながら答えていらっしゃいました。
拘りがあっての事かと思いきや、面倒だからという答えに噴き出してしまった私ですが、それと同時に、なんと愛嬌溢れる方なのだろうと強く印象付けられました。
そんな今井氏は、もちろん五弦ギターしか弾けない訳ではなく、現在では五弦・六弦共に使用していらっしゃいます。
今井氏は「横道坊主」の活動と並行して、スリーピースバンド「スリルラウンジ」を結成。

ギタリストのボーカルというと”アレ”な場合も結構あると思うのですが、そこは「横道坊主」の楽曲でボーカルを取る事もある今井氏。
歌声まで実にかっこ良いです。
やがてバンドブームも去り、テレビで見かける事は少なくなっていきましたが、その後も「横道坊主」は、メンバー交代、複数回のレーベル移籍を経て現在も活動中です。
今年1月には、結成30周年を向かえ、まだまだ衰えを知らない勢いをみせる「横道坊主」。
シンプルなバンド形態で”伝えたい事がある”と言うのは、何にも変えがたい強みだと言う事なのかもしれませんね。
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