気になるギタリスト49回目。今回も大ベテラン。
1970年代初頭、後のパンクロックムーブメントへと繋がる”パブロック”の代表格。
イギリスのバンド「ドクター・フィールグッド」のオリジナルメンバー。初代ギタリスト「ウィルコ・ジョンソン」です。

1970年初頭より活動を開始した「ドクター・フィールグッド」は現在も活動中。
しかし、結成当初のオリジナルメンバーは誰一人として残っていないという何ともおかしな状況に置かれています。
その、初代ギタリストである「ウィルコ・ジョンソン」は、「ドクター・フィールグッド」というバンドを「ドクター・フィールグッド」たらしめる個性溢れる存在であったと言えます。

黒いボディのテレキャスター。途中から真っ赤に塗られたピックガードが彼のトレードマークともなりました。
ピックを使用しないでかき鳴らす姿が印象的です。(ピックも使いますが)

ステージアクションも実に魅力的。
派手にジャンプをしたかと思えば、詰めかけるファンのもとへ前進すると見せかけて速やかに後退。
ステージ上で延々と繰り返されるコミカルな前後運動。
見て居るだけで楽しいギタリストでありました。

1977年、「ウィルコ・ジョンソン」は、「ドクター・フィールグッド」を脱退。ベーシスト「ノーマン・ワット・ロイ」と共にウィルコ・ジョンソン・バンドを結成し活動を続けて行きます。
そんな彼は、バンド「ドクター・フィールグッド」と共に、日本の有名アーティスト達に多大な影響を与えて来た存在でもあります。
シーナ&ザ・ロケッツやルースターズ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT等多くのアーティストが影響を受けた存在として名を挙げています。
中でもシーナ&ザ・ロケッツのギタリスト「鮎川誠」氏との交流は有名で、鮎川氏のアルバムへの参加やジョイント・ツアーを行うなど日本で特に有名なギタリストの一人となって行きました。

日本人アーティストとの共演。フジ・ロック・フェスティバルへの出演。日本でのツアー等。
日本で幅広い年齢層のファンを獲得していった「ウィルコ・ジョンソン」でしたが、2013年、彼を病魔が襲います。
医師の診断は末期の膵臓癌。余命数か月と宣告されたそうです。
それでも彼は、2014年にザ・フーのロジャー・ダルトリーと共にアルバム「Going Back Home」を完成させリリース。

彼の生き様を称賛する声が上がると同時に、これが彼の遺作になるのかとファンは落胆した訳ですが、活動を続ける彼の姿を見たある一人のファンが気になる事を発見しました。
医師でもあるそのファンは、通常9~10ヵ月しか生きられない末期膵臓癌患者であるはずの「ウィルコ・ジョンソン」の姿が元気すぎると感じたのです。
そして彼は、「ウィルコ・ジョンソン」が何か別の病気なのではないかと推測。
本人に面談を申し入れ、診察を試みたそうです。
するとこの見立てが的中、摘出可能な腫瘍である事が分かりました。
こうして今年、無事腫瘍摘出を果たした「ウィルコ・ジョンソン」。
「人生何が起きるか分からない」一時は死の宣告まで受けた彼はそう言ったそうです。
更に術後、まだまだ音楽活動を続ける意思がある事を発表してくれました。
また元気になれば、あのコミカルなステージアクションを見せてくれる事でしょう。
あと何年と言わず、永遠にステージ上の姿を見て居たいと思えるギタリストです。

Fender USA / American Standard Telecaster

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