気になるギタリスト54回目は、つい先日惜しまれつつもこの世を去ったブルース界の巨人「B.Bキング」です。

1949年デビュー。1987にはロックの殿堂入りを果たした「B.Bキング」。
ロックしか聞かないと言う方でも、一度は耳にした事のあるであろうその名。
それもその筈、今や大御所と呼ばれる多くのロックギタリストが影響を受けた、ロックの源流とされるボーカリスト/ギタリストであるからです。
声量豊かなボーカル。情感あふれるギターフレーズ。
彼の特徴として、歌っている時にはほぼギターを弾かないというスタイルが挙げられます。
歌声に続いて合いの手やコーラスの様に繰り出されるギターフレーズ。
声とギター、彼にとってはどちらも楽器だったと言う解釈だったのかもしれません。

伴奏楽器としてでは無く、メロディーを奏でる楽器としてのギターの使い方。
思えば、著名なボーカルギターの方も、はたまた我が国の芸人さんの演芸でも、彼を真似た様なスタイルの方は沢山いらっしゃいます。
それがブルースの一形態であるとすればそれまでですが、そんなスタイルを世に広めた/多大な影響を与えたのは「B.Bキング」だったと言えるのだと思います。

Epiphone / B.B.King Lucille Ebony 《S/N:14121506589》
そんな彼の愛用ギターには、「Lucille(ルシール)」という名が付けられております。(写真はEpiphone版Lucille)

Epiphone / B.B.King Lucille Ebony 《S/N:14121506589》
出演したクラブの大火災と言う事件に遭遇した「B.Bキング」。
事件の発端となった喧嘩の原因が「ルシール」という女性を巡る争いであった事から、そんな馬鹿な行為を諌める意味で愛用ギターのこの名を付けたそうです。

Epiphone / B.B.King Lucille Ebony 《S/N:14121506589》
このLucilleは、Gibson 「ES-335」の上位機種「ES-355」を基本としたモデル。バリトンスイッチ搭載型。
本来有る筈のFホールが開けられておらず、アームレス。
代わりにファインチューナー付のテールピースが搭載されています。
部材にも変更があり、本来マホガニー材ネックである所が、Lucilleではメイプルネック採用となっています。
(本人使用のLucilleはエボニー指板仕様。上記Epiphone製品ではローズウッド指板)

Gibson / LPJ Rubbed Gold Top Satin
今日、Gibson社製品の低価格帯モデルにメイプルネックが多く採用されていますが、これはマホガニー材の価格と材確保の難しさに起因した材変更だと考えられます。
しかし、それよりも先に、Gibson社の伝統的な材選定(=マホガニーボディ+マホガニーネック)では無く、あえてメイプルネックを採用しているLucilleは、伝統に縛られず理想の音を追求した結果生まれたギターなのだと思います。
Gibson社なのにメイプルネックはどうも・・・という考え自体がナンセンスなのかもしれません。
話が少し逸れました。
「B.Bキング」。
彼の様な存在を見ると思い浮かぶのが、模倣では無いオリジナルを産みだす難しさとそれを成し遂げた偉大さです。
彼自体、影響を受けたアーティストが居ないわけではありませんが、影響を受けた音楽を更に昇華させ「B.Bキング」という存在たらしめたそのスタイルは、今後未来永劫に語り継がれる事でしょう。
偉大なギタリストのご冥福をお祈りします。

シンコー・ミュージック / B.B.キング/マスター・ブルースマン(CD付)

石橋楽器店
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