気になるギタリスト64回目は、今だ世界的規模で大変な人気を擁するオーストラリアのベテランロックバンド「AC/DC」のギタリスト。

AC/DCと来れば”ミスターSG”「アンガス・ヤング」か。
とお思いになる方が大半なのでしょうが・・・すみませんアンガスのお兄さん「マルコム・ヤング」の方で御座います。
確かに、AC/DCの看板ギタリストは、アンガス・ヤングで間違い無いと思います。
大ベテランとなった今も頑なにスクールボーイスタイルを貫くその姿勢は、最早AC/DCのバンドイメージそのものだと言っても過言ではないのかもしれません。

SGを担ぎ、ステージを所狭しと動き回る姿は、ある意味コミカル。
ロックギタリスト=カッコイイもの/格好を付けるものと考えている方からすれば、ちょっとふざけた様な印象を受けるのかもしれません。

しかし、一周回ってそのコミカルな中の格好良さを示しているのがアンガス・ヤングなのではないかと思います。
それは、世界中のファンが感じているモノ。変に格好つけなくても格好良い。それがアンガス・ヤングと言うギタリストなのだと思います。
一方、今回の気になるギタリスト、兄の「マルコム・ヤング」は基本的に動きません。

マイクスタンドに向かい、寡黙にリズムギターを刻み続ける職人の様なお方です。

そんなマルコム愛用のギターはGretsch。過去幾度かシグネイチャーモデルも発売になっています。
基本的にアンプ直なサウンド。SGを担ぎ派手なロックギターサウンドを響かせる弟とは対照的でもあります。

事実、印象的なリフで知られる「Thunderstruck」等を聞いても、やはり目立つのはアンガス・ヤングのギタープレイであると思います。
なのですが。
「Thunderstruck」をよくよく聞いてみると、マルコム・ヤングがメインリフを盛り立てる絶妙なリズムギターを延々と弾いているのに気づきます。
それこそ機械的に、延々と。
まさに職人。
ステージングでも弟を立て一歩引いている様な形を取り、楽曲でも弟のプレイを最大限活かす様なプレイスタイル。
なんと、弟思い(?)な兄なのでしょうか。
むしろ、今日日勝ち得たAC/DCの人気の秘訣は、この兄弟愛溢れる役割分担が成されたギタープレイ、バンドのスタイルにあると言えるのかもしれません。

もちろん、ブルースを基本としたガッツ溢れるロックンロールスタイルというバンドの音楽性が広く世界に認められたというのは間違いない事実であります。
ちなみに、AC/DCは初代ボーカリスト「ボン・スコット」を事故で失っております。
世界的な成功を手に入れようとする時期に、バンドのフロントマンを失うという事件は普通ならばバンド存続の危機、解散しても何らおかしくはない状況だったのだと思います。
そんな危機を乗り越え、更にワールドワイドな人気を得て行ったバンドの歴史を考えると、ヤング兄弟のAC/DCにおける存在感を示す事実だとも考える事が出来ると思います。
そして、2016年。
復活の発表された「Guns N' Roses」、更にそのボーカリスト「アクセル・ローズ」がAC/DCのフロントマンとしてツアーを行うというなんだか良く分からない動向を見せています。
これは、長年AC/DCのフロントマンを務めて来た「ブライアン・ジョンソン」の聴力の低下が原因とされております。
ブライアン・ジョンソン自身は引退を否定しているそうなので、今後の彼の動向、AC/DCの行方はどうなっていくのかわからないと言うのが正直な所でしょう。
少し話がそれてしまいました。
職人「マルコム・ヤング」のお話しです。
ヤング兄弟の力があってこそ数々の苦難を乗り越えて来れたと言えるAC/DC。
今も兄弟そろって頑張っているのかと言えばそうではありません。

去る事2年程前、マルコム・ヤング休養の告知が出されました。
それからしばらく後、マルコムが認知症であることが確認されたそうです。
昔は、ロックアイドルが早世するような話が多々ありました。
短期間の活躍や短命が伝説となり、のちに語り継がれるような事も沢山あったと思います。
しかし、今やロックの歴史も長くなり、高齢化したロックアイドルの存在も珍しくは無くなってきました。
たとえ、ロックの世界では偉人であっても身体は同じ人間。
マルコム・ヤングの引退理由を聞くと、非常に現実的な悲劇を感じざるを得ません。
今は、ヤング兄弟長男の息子(マルコム、アンガスの甥)である「スティーヴィー・ヤング」がマルコム・ヤングの意思を受け継ぎAC/DCの屋台骨を支えるギタリストとして活躍しています。
マルコムの雄姿を見れないのは寂しいですが、AC/DCが消えてしまうよりは良かったと思いたいです。
加えて、今や何もかもが唯一無二と感じるギタリスト、弟の「アンガス・ヤング」に兄の分まで元気で活躍していって欲しいと願うばかりです。
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