気になるギタリスト66回目の今回は、その類まれなる才能から、あるバンドの方向性を全く違うものに変えてしまいつつ、更にヒットを飛ばすという偉業(?)を成し遂げたアメリカ人ギタリスト「リンジー・バッキンガム」です。

デビューは、1960年代。時はサイケデリックムーブメントの真っただ中。
彼のキャリアも当然サイケデリックバンドからのスタートだったそうです。
やがて、ムーブメントの衰退と共にバンドは解散を迎えますが、そのバンドに参加していた女性ボーカリスト「スティーヴィー・ニックス」とデュオグループ「バッキンガム・ニックス」を結成。アルバムを発表しました。
しかし、あまり注目される存在にはなれませんでした。
ですが、そんな二人にある時、転機が訪れます。

当時すでに世界的に人気を得ていたブルース/ロックバンド「Fleetwood Mac(フリートウッド・マック)」のリーダー「ミック・フリートウッド」から、バッキンガム・ニックスの二人に声がかかったのです。
この時、Fleetwood Macはボーカリスト脱退に伴い、後任を探している最中でした。
そこで、バッキンガム・ニックスの二人に白羽の矢が立ったのです。
しかし、それまでのFleetwood Macは、いわばゴリゴリのブルースロックバンド。
サンタナ他、今やレジェンド級のロックバンド/ミュージシャン達にカバーされる様な楽曲を生み出していたバンドです。
そこへ、女性ボーカリストとギタリストという二人がそろって加入するというのですから、俄かには信じられません。

1975年。新メンバーを迎えたFleetwood Macは、アルバム「ファンタスティック・マック」(原題:Fleetwood Mac)を発表。
バッキンガム・ニックスの二人等が中心となりソングライティングを手掛けたこの作品から、バンドの方向性はポップな作風へと変化して行きます。
それまでのFleetwood Macのバンドイメージを考えれば、衝撃的な転換。
しかし、これが商業的な成功。ヒットを飛ばす結果を生み出します。

続けて発表されたアルバム「噂」(原題:Rumours)から、全米1位シングルを輩出するなど、一躍スターダムへと上り詰めました。
バンドイメージ、バンドの顔としての役割が大きいボーカリストの交代という出来事は、時にバンド存続の危機に直面したりもするものですが、それに加えてのバンドサウンドの急激な方向転換を迎えたFleetwood Mac。
それで、全米1位になってしまったりするのですから、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスの楽曲センスというものはとてつもないものだったのだと思うほかありません。
更に、二人を見出し、バンドの方向性を大きく変える決断をしたバンドリーダー「ミック・フリートウッド」の嗅覚/才覚にも驚きです。

ちなみに、メンバーそれぞれがソロアルバムを発表し成功を収めているFleetwood Mac。
スティーヴィー・ニックスに代わりボーカルを取る場面もあるリンジー・バッキンガムもバンド活動と並行してソロアルバムをリリースしております。
ワイルドなしゃがれ声を聞かせたと思えば、知的に感じる歌声を響かせたりとこれまた多彩。
ギターをかき鳴らしながら歌う姿自体も非常に恰好良いです。
ギターも、ソングライティングも、ボーカルでも、見るもの聞くものを魅了するスーパーマンであります。
そんな、リンジー・バッキンガムが活躍するFleetwood Macも実に50年近いキャリアを持つバンドとなりました。
長いバンド活動の間に色々な事がありましたが、現在では黄金期のメンバーが集まりツアーを行うなど活躍を続けています。
メンバー全員、今やベテラン中の大ベテラン。
当然、お歳を召された方々ですので、どうぞ健康に留意して頂いて長く現役を貫いて欲しいと願っています。
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