知っていると、少しだけためになるかもしれない小技。
今回は、通常押弦を行う左手、その親指の位置に関する小技です。
左手フィンガリングフォームには大別して2種類。
ネックを握りこむように構えるカントリーグリップ(ロックスタイル)と親指をネック裏に添えるクラシックグリップがあります。
そして、深いミュートが必要な時や少し特殊なコードを押さえる時など、若干位置はずれたりもしますが、どちらのグリップの場合でも親指の位置は大体人差し指と同じライン上にあるものだと思います。

普段、ネックを握りこむスタイル、カントリーグリップで演奏しているという方はよくご存じであると思いますが、クラシックスタイルに比べ少し押弦動作は窮屈なもの。
特に、親指のミュートを深くかけようとしたり、ネックをさらに握りこむようにするとより窮屈になります。
良くクラシックスタイルの方が速いフレーズ/細かいフレーズを弾くのに有利だと言われる様に、ネックを握りこむスタイルでは指も開きにくく、そして、厳密に言えば押弦動作自体にも速度低下(パッと押弦する瞬間的な速度)が感じられると思います。
実はもう一つの要素、親指の位置関係によっても指の開き難さや押弦速度に変化が生まれます。
例えば、親指によるより深いミュートを意識したとしましょう。
5弦や場合によっては4弦あたりまで親指の頭を持っていこうとします。
すると、親指は人差し指とのライン上から外れ、少し小指側へとずれていくことになると思います。
この深く握りこんだ状態では、特に小指や人差し指は開き辛く、開き辛いということはそれだけ押弦動作が窮屈(動かしにくい)な状態になっています。
時に、ミュートに気を遣う場面などで瞬間的にネックを深く握りこむ事はあっても、常にこの状態で弾き続けている方は居ないとおもわれますが、深く握りこんだ状態(親指が小指側にずれている状態)はあまり合理的なフィンガリングフォームではないということです。
では逆に、親指位置を人差し指のライン上からギターのヘッド側へずらした場合どうなるか?
実際にやってみていただくとお分かり頂けると思いますが、親指をヘッド側へずらすだけでかなり手は開きやすくなります。
極端な差ではないかもしれませんが、窮屈さがなくなった分だけ押弦動作もスムーズにそして速く動かせる状態になっていると思います。
ならば、親指は人差し指とのライン上にあるよりも、ヘッド側へずらした方が正解なのか?と言われるとそうとも言い切れません。
親指をヘッド側へずらせば、当然親指のミュートは使い辛くなります。ピッキング側の手のひらでミュートをするにしても常に親指ミュートが使えないというのは少々不都合があります。
さらに、左手指の窮屈さが無くなった分だけ、フィンガリングは暴れやすくなると感じられると思います。
左手フォームの基本、ネックに触れている人差し指の付け根の位置をしっかり意識することで押弦動作は多少安定するかもしれませんが、なかなか技量を要することとなると思います。

超絶技巧で有名な「ガスリー・ゴーヴァン」などは、極端にヘッド側へ親指を動かしたフォームで演奏していたりしますが、常にその状態という訳でもありません。
よりスムーズなフィンガリング、速いフレーズ、ハイフレットを利用する場合などに親指位置を巧みに変化させている様です。
彼のようなスーパーギタリストの演奏を見る限りでは、これも練習次第なのかと考えられるものですが、やはり安定的なフィンガリングには基本的な親指位置が大切なのだとも思います。
どうしても上手く行かないフレーズがある場合などには、一度左手親指位置をチェックしてみると良いかもしれません。
自然なフィンガリングが可能な親指位置を意識してみると上手く演奏出来るかもしれません。

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