ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その52。
先週に引き続き、基礎的な音楽理論を活用した作曲法。
最初に、前回の行程を簡単振り返ってみます。
・メロディ創作
・創作したメロディの調性確認(分かり易くする為にハ長調/イ短調へ移調)
・メロディに含まれる音程の確認
・メロディと合いそうな(イメージに合いそうな)1オクターブ下のある音を加える
という所まで進みました。
ここからは具体的なコードを当てはめて行く作業となりますが、ここで思い出して頂きたいのは、ハ長調/イ短調のスケール上に出来上がる
ダイアトニックコードです。
ハ長調(キーC)であれば、ダイアトニックコードはC(M7)、Dm(7)、Em(7)、F(M7)、G(7)、Am(7)、Bm(7)-5という構成になります。
次に、作ったメロディに”付加したオクターブ下の1音”がどのダイアトニックコード内に含まれるのかを確認して頂きたいです。
例えば、加えた音がE音であった場合。
E音が含まれるコードは、C(M7)、Em(7)、FM7、Am(7)の四つです。
つまり、メロディ下にE音が付加されている場所には、上記四つのコードが当てはまる可能性があるという事になります。

では、どのコードを選ぶべきかと考える時に考慮したいのが、それぞれの
和音が持つ機能です。
こうでなくてはいけないという決まりはありませんが、仮にメロディの始まり、曲の始まりだと想定するならば、トニックコードであるC(M7)が使い易いでしょう。
同時にハ長調の場合、Em(7)、Am(7)は、トニックコードの代理としても機能するので使い易いと思います。
残る一つ、FM7はサブドミナント。E音が7度にあたる為、少し独特な響きが得られる筈です。
このように、創作したメロディーに対してイメージと合いそうな任意の1音を加えてやり、雰囲気を掴んだ上でダイアトニックコードと照らし合わせ、一体どんなコードがイメージと符合するのか導きだしてやる事が出来ると思います。
後はこの作業の繰り返し。付加した1音がダイアトニックコードのどのコードに含まれているのか。そしてそのコードが持つ機能を考えた上で次のコードを選定して行けば良いのです。
そして、コード進行を考える上でもう一つ考慮に入れたいのが、ハーモニックポイント(和音が切り替わるポイント)です。
メロディに対して1音加えるなどといきなり言われてしまえば、1小節内に5個も6個も音を加えてみたという方は少ないかもしれませんが、加えた音が多ければ、それだけ音を加えた地点にコードチェンジの可能性が生まれるという事でもあります。
しかし、頻繁なコードチェンジはせわしない印象を与えますし、曲のテンポが速ければ聞く側も混乱してしまいます。
従って、和音が切り替わるタイミングは、メロディの強拍に設定すると良い筈です。
つまりは、小節の頭ごとにコードが切り替わるパターンや1拍目と3拍目でコードが切り替わるパターン等です。
緩やかなテンポの曲であまりにコードが変化しなければ間延びした感じにもなりますし、テンポの速い曲で頻繁なコード変化を与えてしまえば忙しすぎる印象になりますので、その点を踏まえコード進行を考えてみると良いと思います。

さてもう一つ、創作したメロディやメロディ下に付加した1音に♯や♭が付いている場合があるかもしれません。
この場合、ダイアトニックコードからは外れてしまいますが、♯/♭付の付加した音が含まれる和音を探してやれば良いだけの事です。
ハ長調ダイアトニックコードに含まれないドミナントセブンス(C7、D7~等)を確認してみると比較的簡単に見つかると思います。
最後に、付加した1音からコードを導き出し、当てはめるその時に注意しなければならない”
不協和音程”。
メロディに対して1音を加えるという方法からスタートしていますので、その時点でいきなり短9度が現れているというのは稀であると思いますが、そこから導き出したコードに含まれる音とメロディに含まれる音とが不協和音程になってしまう場合もあります。
例えば、ある小節のメロディに”F音”が含まれる場合。
ここに1オクターブ下のC音を伴奏の手がかりとして加えたとします。
C音が含まれるダイアトニックコードという事でここにCメジャーコードを当てはめようとすると・・・

Cメジャーコードに含まれるE音とメロディのF音とが短9度関係になってしまいます。
実際にメロディとコードとを同時に鳴らしてみると分かりますが、アンサンブル全体が濁り、コード機能が良く分からない状態となる筈です。
よってこの場合、Cメジャーコードは回避すべき和音です。(Amも同様に×)
伴奏の手がかりとして付加したC音を活かすのであれば、Dm7やFM7、ダイアトニックコードからは外れますがCsus4など、コード機能を考えた上で他のコードを設定した方が良いです。
以上、少々まわりくどい方法、考え方ではありますが、ギターを弾きながら作曲・コード付けがどうも苦手という場合には、メロディと和音構成音を考えたり、ダイアトニックコードや和音機能を考えてみる事で比較的簡単に作曲/創作が可能になると思います。
今回の様な方法論。はじめは手間のかかる行程でも、何度も繰り返し行ううちに自然と答えが導き出せる様にもなって行くと思います。
苦手意識は極力持たないように、思うがままやってみる事が何より上達への手がかりなのではないかと考えます。
加えて、音楽的な知識はその大いなる助けとなる筈です。
- 関連記事
-
スポンサーサイト