ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その53。
前回は、基礎的な音楽理論を活用した作曲という内容でしたので、それに付随するコード進行の考え方として”
終止”(ケーデンス/カデンツ)について今一度振り返ってみたいと思います。
終止形などとも言われるコード進行の考え方は、よく文章表現になぞらえて句点や読点のようなものであると説明されます。
各コードの持つ機能を活かし、曲の展開に抑揚をつける。
作曲したメロディに対して、協和するコードを当てはめて行くだけでもある程度曲にはなりますが、曲全体の構成としての流れやリズム感、ダイナミズムを与えてやることで、より印象深い作品に仕上げようとする訳です。
つまりは、思い描いた曲を表現する上で非常に大切な要素であります。
まず、コード進行で抑揚をつける為に必要な考え方として、ダイアトニックコードと各コードの機能性について熟知していなければなりません。
このあたりは、以前の
記事を参考にして頂きたいです。
各コードの持つ機能(トニック・サブドミナント・ドミナント)を活かして曲に抑揚を与える終止形。其のうち、もっとも代表的なモノは2種類。

一つは、ドミナントコードからトニックコードへと移行する流れ(正格終止)。
もう一つは、サブドミナント→ドミナント→トニックへと移行する形です(完全終止)。
この二つは、文章表現の中の句点(。)に相当する、強い解決になります。
次の二つも句点の様な役割で使われますが、上記二つに比べやや弱い終止感。

サブドミナントからトニックへ移行する形(変格終止)。
これは、讃美歌の終わりの部分に使われているので”アーメン”終止などとも呼ばれる形です。
そしてもう一つのパターンが、ドミナントから主和音以外のトニックコード(代理トニック)へ移行する偽終止。
ハ長調で考えるならば、ドミナントコード”G”から主和音以外のトニックコード”Em/Am”へ移行する流れです。
これは、”偽”終止というだけあって完全な句点とはなりませんが、一応終止の形とされています。
ドミナントコードからのトニックへの解決要求をはぐらかし、次の展開を促す組み合わせです。
ドミナント→代理トニックから転調していくケースも考えられます。
続いて、読点のような役割の半終止。
これは、ドミナントコードが挟まる事によって生まれる切れ目。
自然とトニックへ繋がるケースが多いので正格終止との差が分かりにくいですが、小節の終わりやパッセージの終わりなどにドミナントコードを持ってくることにより読点の様な役割を持たせる考え方になります。
以上、代表的な終止形の形ですが、コードの機能性や基本的なコード進行の形を覚えている方には既に見慣れた形ばかりであると思います。
しかし、終止の形、その意味を念頭に置きコード進行を創作する事で、作曲上より新しい展開のアイディアを生み出すことが可能であると思います。
更に、この基本的な終止形を逆手に取り、意外な展開のパッセージ+コード進行などというものも生み出せる筈です。
メロディーとの協和はもちろん大切ですが、意外な展開をみせる楽曲というのも魅力的なものだと思いますので、色々と試行錯誤してみるのも面白い作品になるのではないかと思います。

Paul Reed Smith (PRS) / SE Carlos Santana Standard Faded Tortoise (FT)

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