気になるギタリスト67回目。
少し昔のアーティストであっても、その映像が手軽に見れる昨今。
何十年か前、若かりし頃の伝説のプレイヤーの名演を、それこそ何時でも見られる時代になりました。
しかし、活躍した時代がより昔になってしまえば、映像自体があまり残っていないという伝説のプレイヤーも沢山います。
今回とりあげますのは、そんな映像資料をあまり見かけない伝説のプレイヤー。
アメリカのブルースシンガー/ギタリスト、「ギター・スリム(エディー・ジョーンズ)」です。

彼が、本格的に音楽活動を開始したのは1950年頃といいますから、いまから60年以上も昔の話でございます。
1926年生まれで、1950年本格デビューとすると、24歳かそこらの年齢であります。
バリっとした(白など派手目なカラーの)スーツに身を包み、ギターを弾きワイルドに歌うその姿が印象的であったと良く言われおります。
と言いますのも、私自身アルバムジャケットや数少ないライブ写真を見たことがあるだけで、実際に動いている彼の様を見たことがありません。
これだけ便利な世の中になっても出来ることといえば、彼のパワフルな歌声を聞きながら、数少ない(しかし強烈なイメージの)情報を元に、在りし日の姿を想像するだけなのです。

ある意味それは、伝説として語り継がれた「ギター・スリム」をより大きな伝説の存在へとしてしまっているのかもしれません。
しかし、資料あまり見ることが出来ないから伝説になれるという訳など当然ありません。
彼が残した曲やパフォーマンスに心打たれた一流ミュージシャンは一人や二人ではなく、「
スティーヴィー・レイ・ヴォーン」や「バディ・ガイ」と言った一流中の超一流人気ミュージシャンですらその影響を受けた程です。

特に「スティーヴィー・レイ・ヴォーン」は亡くなるまで、「ギター・スリム」の息子「ギター・スリムJr」と音楽的親交を重ねたという話が残っています。
(もちろん、「ギター・スリム」の息子「ギター・スリムJr」も父の意思を受け継ぐブルースマンです)
さてここで、何故急に”息子とレイ・ヴォーンの親交”という話になるかと不思議に思う訳ですが・・・
伝説の男「ギター・スリム」。
どうしてなのか、そういう”さだめ”とでも言うのか。若干32歳で病死しております。
実に10年にも満たない活動期間。
その短い期間で、後のブルース/ロックに多大な影響を与えた存在として考えればまさに伝説。
皮肉なことにその短い人生もまた伝説級なのであります。
偉大な功績を遺した人物が早死になのか、それとも功績を残したからこそ目立って見えるのか。
こと音楽に関して言えば、こうした天才の夭折という話が珍しくありません。
それをどうこう言ってどうにかなるものでもありませんが、ただ残念なのは年を重ね円熟味を増した「ギター・スリム」の姿が見れなくなってしまった事です。
おまけに、もしも彼が早くに死んでいなければ、数多くの映像が残されていたかもしれません。
そう考えると、彼の死がより残念なものに感じてしまいますが・・・。
ある意味、余分な映像情報が無い分だけ、音楽に込められた心そのものと向き合えるとも言えるのかもしれません。
彼の残した音は、「ギター・スリム」が誇張された伝説ではないと訴え続けているかのように私には思えてくるのです。
- 関連記事
-
スポンサーサイト