気になるギタリスト68回目。
今回はちょっと変わった視点の気になるギタリスト。
取り上げますのは、アメリカのR&Bギタリスト「レイ・パーカー・ジュニア」です。

彼自身、シンガーとしても活動していますが、1970年代セッションギタリストとしても活動しておりまして、「チャカ・カーン」や「スティーヴィー・ワンダー」など超有名ミュージシャンとの絡みもあったりする実力派ギタリストです。
そんな彼が一躍、世界的な脚光を浴びる切っ掛けとなったのが、映画「ゴーストバスターズ」主題歌を作曲したことです。

1984年に公開されたこの映画は、当時日本でも大ヒット。
続編も制作され、今年2016年にはリブート版が公開されるなど世界的人気を誇るシリーズとなりました。

そんな大ヒット映画の主題歌。
軽妙でユニークなその楽曲もまた、世界的なヒット曲となりました。
まさにアメリカンドリーム。
ヒットメーカーとしてその名を世界に知らしめた「レイ・パーカー・ジュニア」でしたが・・・これで全てが上手く行く訳ではありませんでした。
なんと、その大ヒットとなった主題歌に盗作疑惑があるとして裁判沙汰になってしまいます。
「ゴーストバスターズ」よりも先に発売されていた、当時アメリカでヒットを連発していた人気バンド「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」の曲(※)に酷似していると訴えられてしまったのです。

※ 「I Want a New Drug」(1983)
裁判の結果は「レイ・パーカー・ジュニア」側の敗訴。
つまり、盗用があったという判決となってしまいました。
実際のところ、映画のプロデューサー側から「レイ・パーカー・ジュニア」に「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」に似た曲を制作するよう依頼があったそうなので、盗用は紛れもない事実であったようです。

さて、他人のアイディアを盗用すること自体は到底褒められたものではありませんが、しかしそれだけで世界的大ヒットを飛ばせたとも思えません。
「レイ・パーカー・ジュニア」という人物は、やはり才能のあるミュージシャンであったのだと思います。
もちろん、初めのイメージを生み出す事が何より大変だと言うのも分かります。
ですが、レシピを与えられた一流のミュージシャンは、それを発展させるのもまた上手いという事になるのだと思います。
しかし、そんな優秀な才能がありながらも一時の誘惑に負けてしまった彼は、盗用という不名誉なレッテルを貼られる結果を招いてしまったのですから非常に残念な話だと思います。
一方、「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」方は、順調に人気を獲得しつつこの騒動がよりバンドの知名度を上げる結果に。

そして、こちらも負けじと1985年の大ヒット映画「バックトゥザフューチャー」の主題歌として「The Power of Love」を大ヒットさせることとなりました。
「ゴーストバスターズ」に「バックトゥザフューチャー」。
どちらの主題歌も一度聞けば脳裏に焼き付くような名曲ではありますが、その誕生の陰には「レイ・パーカー・ジュニア」と「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」の不思議な関連があったというお話でした。
ちなみに、「レイ・パーカー・ジュニア」は現在もソロで活動中。
2006年に発表したソロアルバムのタイトルは「I'm Free」。
皮肉な話、事件を経て今、やっと自由に音楽と向き合っていられるようになったのかもしれません。
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