今回、おもしろグッズとして取り上げますのはエレキギターサウンドに大きな影響を与える”ピックアップ”。
中でも、こだわりの詰まった超高級ピックアップのお話になります。
まず、至高のピックアップとして必ず名前のあがるGibson社のオリジナルハムバッキングピックアップ「PAF」。
「PAF」は、正式な製品名では無く、開発当初PATENT APPLIED FOR(特許出願中)というシールが張られていた事に由来します。
現在、ポピュラーともなったハムバッキングピックアップの元祖とも言えるこのPAFは、ピックアップをダブルコイル化し位相を反転させる事でハムキャンセル効果(ノイズ低減)を産み出すと言う、当時画期的なアイディアの新製品でした。
1950年代後半から60年にかけて生産されたGibsonレスポールモデルに搭載されたPAF。
その存在が伝説ともなった原因は、エリック・クラプトン等の有名なギタリスト達が、こぞってマーシャルアンプとPAF付レスポールという組み合わせを用いたからに他なりません。
当時既に、新型レスポールモデルとしてSGが登場しており、オリジナルレスポールモデルが一時生産中止になっていた事もオールドレスポール+PAFの人気に拍車をかける形ともなりました。
その人気ぶりにあやかり、1968年にレスポールモデルは再発売される事となりますが、既に完成されてしまったオールドレスポールとPAFという図式は、ギタリストの憧れ・至高のサウンドとして現在へと語り継がれる事となります。
そんな伝説的なピックアップですので、現在まで数多くのPAFクローンが制作され販売されて来ました。

本家本元ですので、クローンと言って良いものか微妙な所ですが、現在でもGibson社から当時のPAFサウンドを再現するピックアップが発売されています。
現行Gibsonブランドのギターにも多く採用されている”BURST BUCKERシリーズ”もパワー等の違いはあれど、基本的にPAFを元に作られている製品です。
リプレイスメントピックアップを発売している有名メーカー各社でも、必ずと言って良いほどPAFを目標に作られたモデルが発売されています。

オリジナルPAFの再現を目標としたモデルから、より現代的にアレンジされた改良型PAF等、実に様々なタイプのPAFクローンが発売されています。
製品名にPAFと付かなくとも、「PAFをよりパワーアップしたような~」ですとか「PAFサウンドを更に昇華させ~」なんていう説明文が付くだけで売れるのではないかと言うくらい、PAFという言葉自体が魔法の言葉の様でもあります。
それだけ、伝説視され、羨望の的とも言えるオールドPAFですが、いくらオリジナルを元にしていても所詮クローンであり、現代風にアレンジしたものでは満足出来ないという拘りを持つ方もいらっしゃる様で・・・。
パーツの材質から細かい部分の設計までPAFを研究し尽くして制作されている様な製品もある訳です。
大変前置きが長くなりましたが、ここでご紹介致しますのが問題のおもしろグッズ。
おもしろグッズとして扱って良いものか少々微妙ではありますが、PAFという存在があったからこそ産まれた、面白い製品であるのは間違いないです。

それがこちら。クロアチアのピックアップメーカー、Wizz Pickupsから発売されている「Premium PAF Clone」。
先ず驚きなのが、その価格。
実売5~6万円します。
下手なギター本体よりも高額です。
しかし、それもそのはず、樹脂パーツはオリジナルPAFから採寸。金属素材の配合・組成までも忠実に再現。
コイルターンなどはもちろんの事、ワイヤー・スクリュー・スプリングに至るまでカスタムメイドで制作し、オリジナルPAFと寸分たがわぬ製品であると豪語しています。
ここまで拘って再現されてしまえば、その価格に文句は言えないというものです。
世の中すごいエンジニアもいらっしゃるものですね。
しかし、ピックアップはエレキギターを構成する多くのパーツの一つでしかありません。
サウンドに占める役割は大きいパーツとは言え、乗せるギターによっては良い結果を産まない場合もあるでしょう。
それでも伝説的なピックアップ「PAF」とその言葉の魅力というのは大変なものであると感じます。
PAFクローンのリプレイスメントピックアップに交換して、これは「PAF」を元にしたモデルなんだ~と思うだけで満足してしまいそうな感じも致します。
個人的には、そんな楽しみ方も有りだと思いますけども。


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