気になるギタリスト87回目。
今回は、グランジ、オルタナティブロック界の重要人物。
その人物とは、実験的とも取れる前衛的なサウンドやノイズパンクと分類される過激なサウンドが特徴のアメリカのバンド、「Sonic Youth」の中心メンバー。
ボーカルリストでもあるギタリスト、「サーストン・ムーア」です。

グランジ、オルタナティブロックというと、あまりにも有名なNirvana/カート・コバーンの印象からか、その愛用ギターであるFender Jaguarがそのイメージとして強くある様に感じるものです。
しかし、サーストン・ムーアもまた同様のシェイプであるJazzmasterを使用していた事から、実はグランジ、オルタナティブロックのイメージにこのシェイプのギターがあるのもムーアの影響も非常に大きいのではないかと思われます。
何より、身長2m程もあるサーストン・ムーアがJazzmasterを手にステージに立つだけで、それはそれは大変なインパクトを齎すものであります。
そもそもSonic Youthというバンド自体が後のグランジ、オルタナティブロックブームに続く特異で新しい音楽性を感じさせるスタイルであった事を考えれば、このグランジ/オルタナティブ=Jaguar/Jazzmasterというイメージはサーストン・ムーアが元祖とも言えるのかもしれません。
それに加え、ただでさえ高身長のサーストン・ムーアがJazzmasterを構える姿というのも非常にインパクトある、印象深いものです。
彼の姿に影響を受けてJazzmasterを手にしたというギタリストも世界中に存在することでしょう。

ですが、同じように高身長でなければ真似できないのが、その手さばき。
当然非常に手も大きく、ネックを握る姿はまるで子供用のギターを手にする大人の様にも見えます。
手が大きければ大きいで扱いは大変なものかもしれませんが、それをまた巧みに、手の大きさをアドバンテージとして演奏するような姿も印象的です。
サウンド的には、元祖グランジ、オルタナティブと呼ばれるだけあって過激なドライブサウンドが印象に残る彼のギターでありますが、特にそのサウンドメイクセンスは抜群である様に感じます。
ただ強く歪ませただけではない、音楽的で存在感あるギターサウンドが目につきます。
簡単に素人が真似をしようとすれば、ただ酷い結果になりそうなサウンドを、また絶妙な匙加減でサウンドメイクしていく技術もサーストン・ムーアの凄さなのではないかと思います。
また、そんな彼らしいサウンドを作り上げる為に、変則的なチューニングを多用しているのも彼の特徴です。
レギュラーチューニングという常識に縛られる事なく、常に自由なサウンドメイクをしていく彼ならではのスタイルを感じさせる部分です。
もしかしたら、彼の中ではエフェクターを扱うのと同じように変則的なチューニングもまたサウンドメイクの一環なのかもしれません。
弦のテンションが変われば、アンプからの出音やエフェクターのかかり具合も変わります。
その辺りすべてを計算に入れた上でサウンドメイクを行っていると考えれば実に合理的であり、ギターサウンドの可能性も広がるというものです。

今日日、世界中のバンドで良く見かける様になった多弦ギターですが、それもエレキギターの可能性を広げようと試みた結果産まれたものだと思います。
そんな多弦ギターが一般的ではない時代から、変則チューニングという形で新しいギターの可能性を模索していたと考えると、広い意味で今の時代にまで影響を与えたギタリストとも言えるのかもしれません。
兎角、インディーズシーンと繋がりの深いグランジ、オルタナティブロック界隈ですので、「Sonic Youth」もまたメジャーとインディーズを股にかけながら活動を続けています。
1970年代後半から活動開始したとされていますので、その活動はすでに40年近く。
それでもまた何か新しいものを産み出してきてくれるのではないかと期待が持てるのがサーストン・ムーアという偉大なギタリストだと思います。
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