気になるギタリスト91回目は、93年に武道館公演を成功させた日本人ギタリスト、「児島実」氏です。

「児島実」氏と聞いてピンと来ない方でも、「室姫深」と聞けば良く御存じの方も多いのではないかと思います。
1990年代、D'ERLANGER解散後の「KYO」氏をフロントマンに迎え、瞬く間に大人気となった日本のヴィジュアル系ロックバンド「DIE IN CRIES」。
その多くの楽曲を手掛けたギタリスト「室姫深」こそ児島氏の別名であります。

そもそも児島氏は、これまた世界的人気を博した「THE MAD CAPSULE MARKETS」の初代ギタリストとしてデビューしました。
当初インディーズレーベルから発表された1stアルバム「HUMANITY」の中に室姫深の名義が見られます。
後にデジタルミュージック的なアプローチを強めていった同バンドでありますが、初期は紛うことなき”パンク”ロック。
児島氏のギターワークもパンクミュージックのそれであります。
しかし、1stアルバム発表以降同バンドを脱退。
その後、ドラマー「yukihiro」(現L'Arc〜en〜Ciel)氏との活動を挟みつつDIE IN CRIES室姫深としての活動へと続いて行きます。

後に武道館に立つまでとなったDIE IN CRIESも当初はインディーズからのデビュー。
しかし、(音楽ファンにしてみれば)そうそうたるメンバーの集まったこのバンドが注目を集めるのに時間は要りませんでした。

92年のメジャーデビューアルバム「VISAGE」発表から、95年のバンド解散まで、それこそ怒涛の勢いで日本のロックシーンを駆け抜けて行きました。

”DIE IN CRIES室姫深”として多くの方にその名を知られる存在となった「児島実」氏でありますが、売れっ子となってもその活動はDIE IN CRIESのみではなかったというのですから驚きです。
DIE IN CRIES活動中にも児島氏自身が中心となり「BLOODY IMITATION SOCIETY」を結成。
DIE IN CRIESとは全く異なるハードコアなバンド活動も行っていました。
こうした児島氏のやりたい事、音楽性のズレみたいなものがDIE IN CRIES解散に繋がったのかどうかは分かりませんが、DIE IN CRIESは95年に解散。
その後、児島氏は「BLOODY IMITATION SOCIETY」を活動の中心にしていきますが、それもまた長くは続きませんでした。

それから数年後。21世紀を迎えた2001年。
ここで「BUG」というバンドが登場します。
DIE IN CRIES解散後、ソロアーティストとして活動していたボーカルKYO氏と再び手を取り合うこととなったのです。
後にDIE IN CRIESでベースを務めていた「TAKASHI」氏もこのバンドに加入したことから、DIE IN CRIESファンは狂喜したのは言うまでもありません。
完全な形ではないにせよ人気バンドの復活か?と話題にもなりましたが、一年ほど後ここからも児島氏は去って行ってしまいます。
次に児島氏が音楽シーンに登場したのは、2003年。
女性ボーカリストを中心に据えた新バンド「SPIN」のギタリスト”深”としてでした。
このバンドは後に「THE SPIN」として2009年にメジャーデビュー。
デビュー曲は、アニメのオープニングテーマとして採用されるなどしました。
この時の児島氏は、フライングVを手にパンクギタリストを思わせる風体。
ビジュアル系ギタリストとして一世を風靡した彼は本来こうした姿が理想だったのかとも思われる姿でした。
そして抜群のソングライティングセンスも健在。
このまま、メジャーシーンの王道を突き進むのかとも思われましたが、このバンドも2010年に活動停止。
ソロ活動や有名アーティストのサポートとしての活動は続けていらっしゃいましたが、ギタリストとしてのバンド活動は見られなくなるのかと思われました。
しかし、児島氏の音楽活動の意欲が衰える事はありません。

なんと、ポップユニット「SUSIE LOVE」のギタリスト「NICKY」として現在も活動を続けていらっしゃいます。
現在の姿を見てどれだけの方がかのビジュアル系ギタリスト室姫深だと気づくでしょうか?
THE MAD CAPSULE MARKETSやDIE IN CRIESの室姫深。
現在のSUSIE LOVE、NICKY。
まったく繋がらない様にも思えますが、今も昔も耳に残る作曲力は確かに児島氏のものです。
様々な音楽の中で、様々な名を使い分け、音楽の世界を生き続けるギタリスト。
過去の栄光をものともしないそのスタイルは、とにかく自由奔放な姿にみえます。
様々な表情を見せるギタリスト児島実氏。
この方ほど多様な活躍をみせたギタリストというのも珍しいのかもしれません。
何より、どんな形態であってもギタリスト児島実氏が活動を続けていてくれるというのが、古いファンには嬉しいものであります。
まだまだ長く活躍してほしいギタリストのお一人です。
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