近年、小型で多機能なものも増えているアンプリファイですが、「
Suhr」ブランドがまた新たなアンプの形を作り上げました。

「Suhr Amps」の開発した新製品「PT15 I.R.」は、通常チューブアンプ駆動に必要なキャビネット接続を不要とする”リアクティブロード”とキャビネットの挙動を解析し再現する技術”IR(インパルスレスポンス)”を機能として本体にビルトインしたという、世界初の”IR対応型真空管アンプヘッド”です。
フルドライブさせることで真価を発揮する真空管アンプ。
しかし、常に全力で鳴らすわけにはいかないというのは当然な話でありまして、それはパーソナルなレコーディングの場であれば猶更の事です。
これまでそうした問題を解決する為に、低ワッテージの小型真空管アンプが開発されたり、ロードボックス製品が開発されたり、(スピーカーシミュレーション搭載の)ライン接続を持つ機種が発売されて来たものです。
しかし、この新型「PT15 I.R.」では、その更に上を行くIR対応型。
しかも、リアクティブロード含めて本体に内蔵という更なる進化を見せた形と言えます。
近頃は、続々とIR対応のマルチエフェクター等も登場しておりますので、これをアンプ機能に~というアイディア自体は浮かぶものかもしれません。
ですが、それが可能なのか?
ならば、実際に作ってみれば良いではないかという非常に野心的な一台に感じます。

製品名にありますように出力は15w。
しかしながら、真空管アンプですので、トランジスタの15wとは比較になりません。
自宅でフルドライブさせるには強力過ぎるほどの出力を持っています。
そんなハイパワーなアンプヘッドでありながら、ヘッドフォン端子がメインパネル部に搭載されているというのが、まず本機の特徴をよく表しているものだと思います。
出力される音にはIRファイルが使用出来ますので、ヘッドフォン環境と言えどもキャビネット使用時に劣らぬサウンドが得られます。
当然、背面にはLINE OUTも装備。
IRを使用しない出力も可能です。
搭載される真空管はプリ管に”12AX7”を5本。パワー管に”6V6GT”を2本搭載。
センドリターン機能も搭載。(チューブドライブ・バッファード)

本体にはSuhrスピーカーキャビネットのIRデータが16種類搭載済み。
もちろん、サードパーティーのIRデータも使用可能です。
3チャンネル仕様となる本機は、チャンネル毎に異なるIRデータを適用可能となっております。
クリーンにはクリーンに合ったキャビネット。ドライブ A/Bそれぞれ異なるキャビネットを使用する事も出来ますので、従来の真空管アンプヘッドよりも一台でより多彩な音色を扱えるアンプであるとも言えます。

一応、PT15用のキャビネットも用意されていますが、リアクティブロードのおかげで必ずしも必要ではありません。
そうした意味でも、改めて物凄い真空管アンプが登場したものだと感じるところです。
こんな品が登場してしまった以上、当然、有名各社もIR内蔵製品を投入してくるでしょう。
これからどんな製品が出現するのか、少々楽しみな展開になってきたと感じます。
旧来の真空管と最新のIR。
この不思議な組み合わせが、しばらく話題を独占しそうな気も致します。


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