気になるギタリスト97回目の今回は、昨年惜しまれつつもこの世を去ったアメリカ人ギタリスト、「ディック・デイル」です。

この手のギタリストが好きな方ならば有名なギタリストだと思いますが、そうでない方はディック・デイルと聞いてもあまりピンと来ない存在かもしれません。
彼がデビューしたのは1950年代後半。
「ザ・ベンチャーズ」などが世を賑わしたギターインストゥルメンタルがブームの頃であります。

「ディック・デイル」もそうしたギターインストの名手。
怒涛の様なオルタネイトピッキング(マシンガンピッキング)を繰り出すギタリストと言えば、その曲は知らなくともおおよその演奏スタイルは想像出来るかと思います。
しかし、彼のギター演奏が独特なのは、右用のギターを左に構え演奏していた事にもその理由があるのかもしれません。
通常、そうした使い方を想定するのであれば、ナットを手入れし左用に弦を張りなおすものですが、ディック・デイルは右用をそのまま左に構え扱っていたという少々特殊なギタリストであります。
こうした事からか、生前のジミ・ヘンドリックスがその影響受けた存在として「ディック・デイル」の名を挙げていたとも言われています。
さて、日本では「ザ・ベンチャーズ」と比べてそこまで有名ではない彼でありますが、実は多くの方が彼の曲を一度は聞いた事があるのではないかというギタリストでもあります。

何故ならそれは、90年代に大ヒットした映画「パルプ・フィクション」の中で彼の「Misirlou(※)」が、ほぼメインテーマとして大々的に取り上げられたからです。
※ ミシルルー/もともとイージーリスニングの楽曲をディック・デイルがサーフアレンジしたもの
おそらく多くの方が、映画「パルプ・フィクション」と聞いて思い出されるあの曲。
あれこそがディック・デイルの演奏であります。
『パルプ・フィクション』自体は、おおよそ海やサーフィンとは無縁の映画ですが、そのバイオレンスな疾走感を表現するのにディック・デイルの楽曲を選択したあたりが流石、鬼才クエンティン・タランティーノという感じがします。
なにより、発表から40近い年月をへて映画の主題歌的な採用をされても、一切古臭さを感じさせなかった彼の曲は驚きに値するものだと思います。
当然、後のロックミュージックに大きな影響を与えた彼ですが、その疾走感あふれる演奏スタイルはメタルミュージックの源流でもあるのではないかと思える程です。
晩年までその技術を磨き上げ、映画の成功によって再度脚光を浴びた「Misirlou」をさらにアレンジして演奏している様子が今も印象的であります。
これからもエレキギターミュージックの歴史の中で、語り継がれるべき偉大なギタリストのお一人であると思います。
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