ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その92。
楽譜を読むのに慣れて来たりしますと、譜面に表されたメロディーを見ただけで、大体その小節に当てはまるコードが判別できたりするものですが、今回はそうした譜面上に見るメロディーとコードの関係/見え方、聞こえ方というお話です。

多くの場合メロディーの音程は動いているものですが、今回はその音程が鳴っている一瞬のみを考え、その時伴奏である和音との間にどのような関係が出来上がっているかを考えてみたいと思います。
少々判り難い譜面ではありますが、上部赤枠がメロディー音程、下部青枠部分が伴奏のコードだとお考え下さい。
(一応、曲のキーはCメジャーだとします)
例えば、メロディーの音程が、EやG、B音で構成されていたとすると、当然それらを和音構成音に含むEmがぴったり当てはまるというのは直ぐにお分かりいただけると思います。
ある曲の1小節内には、メロディーにE・G・B音しかないという場合。
間違いなくEmコードが当てはまります。
むしろ、これは当たり前の話です。
では、Emコードの和音構成音に含まれないメロディー音が絡んでくるとどうなるか。
とりあえず”F”音程だけは後回しにしまして、残るC・D・Aを見て行きましょう。

一見、ゴチャゴチャしている様に感じるとは思いますが、メロディー部分と伴奏部分を同じ譜面に表すと、かえって判りやすいものになると思います。
伴奏和音Emに対しオクターブ上のメロディーC音を加えた場合。
瞬間的になっている音全体として考えますと、Em+(ルートから見て)増5度という関係。
しかし、Em和音構成音のB音と半音違いという事で、あまり綺麗な響きはしないであろうというのが見てお判りいただけると思います。
オクターブの違いによっては、B音とC音の
短9度関係となりますのでこれはNG。
次にEm+メロディーD音。
単純にEm+D音として考えると、和音構成”E+G+B+D”のE7(ドミナントセブンスコード)の組み合わせであるのが分かります。
これも協和しない訳がありません。
続いて、Em+メロディーA音。
メロディーは伴奏のオクターブ上(/以上)にあるという前提で考えると、和音のルートE音から見たA音は長11度。
イレブンスコードとして考えると途中の構成音が抜けているので単純に和音として比較は出来ませんが、これも特に問題ない組み合わせと言えます。

さて、後回しにした”F”音程。
これはあからさまにEmのルート”E”音と短9度関係になっておりますので、メロディーと伴奏との間にこれがあってはならないという禁則にぴったり当てはまります。
実際に聞いていただければ即お分かり頂けるダメな組み合わせであります。

また、Emと同じように和音構成音内に”E”音を含むCMコードも同様に協和しません。
つまり、(Cメジャーキーの)譜面を見てメロディーにF音がある小節には基本的にEmやCMコードは相応しくないというのが演奏せずとも分かることになります。

もちろん、メロディーと伴奏の音程がオクターブ以上離れた場合には当然短9度関係ではなくなりますので適用されません。
しかしながら、ここまで音程が離れてしまえばそもそも美しい響きとはまた違った考え方の音楽になると思いますが。
実際、歌いながら/演奏しながらコード進行を考えれば耳で聞いて分かる事かもしれませんが、コードの成り立ちなどを理解していれば譜面をみただけでどんなコードがそこに相応しいか大体判断出来るものです。
どうしても良いコード進行が産み出せないという場合には、一度楽典的な考えからどんなコードが当てはまりそうか考えてみるのも良い方法だと思います。
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