気になるギタリスト71回目。
今回は、何かと信じがたい伝説に満ちたブルースマン「ロバート・ジョンソン」です。

時は1920年代。
ブルース創世記に活躍した彼は、”デルタ・ブルース(※)”の名手として語り継がれるミュージシャンです。
※ アメリカ、ミシシッピ川流域を発祥とする初期ブルースミュージック。
アフリカ系アメリカ人達により紡ぎだされたその音楽は後に全国的な広がりを見せ、やがてシカゴブルース(エレキギターの導入)へとつながって行きます。
そんなエレキギター以前の時代に生きた「ロバート・ジョンソン」。
彼がなぜこれほどまで伝説的に語り継がれているかと言えば、今やロックの大御所と言われる様な大物ギタリスト達に多大な影響を与えた事がその理由の一つ。
もう一つは、有名な「クロスロード伝説」によるものです。

まずは、後世に与えた影響。
彼が生きた時代からおよそ100年。
現在までの間に、数多くの有名アーティストによるカバーが行われて来ました。
ブルースミュージックがロックの源流であることからすれば、ブルースクラシックである「ロバート・ジョンソン」の楽曲がカバーされて来たのは当然の流れとも言えます。
中でも、ブルースからロックへの転換期に大きな役割を担った大物達の受けた影響は大きく、「エリック・クラプトン」や「
キース・リチャーズ」と言った今や伝説のギタリスト達もその影響を語っています。

そしてもう一つの伝説になる理由。今もまことしやかに(?)語り継がれる「クロスロード伝説」。
少年時代、ブルースミュージシャンを夢見た「ロバート・ジョンソン」。
ですが、その腕前は決して後に語られる程のものではなかったそうです。
しかし、ある時を境に一流のブルースマンになっていた彼。
それを見た周囲はただただ驚かされる事となります。
極短期間に何故これ程の腕前を手に入れたのか?誰もが不思議に思いました。
そこで誰かが言い出します。
まことしやかに囁かれるある噂を・・・。
”一流のミュージシャンになりたければ、夜中の0時にギターを持って交差点(クロスロード)へ行くんだ。
すると、黒い大男が現れて、そのギターのチューニングを始めるだろう。
大男はギターを一曲弾き終えるとギターを返す。
そうすれば、何でも好きなように弾ける様になっているさ”
にわかには信じがたいそんな噂。
しかし、ジョンソンの急激な成長を見せつけられた人々は、
- ジョンソンは、夜中にクロスロードへ行ったに違いない
そんな風に噂をするようになりました。
それと同時に、彼は”悪魔に魂を売った”、”魂と引き換えにギターの腕前を手に入れた”とも言われる様になったそうです。
「Me and the Devil Blues」と言った楽曲や”地獄の猟犬”と言った歌詞、そんなものも悪魔と契約したギタリストというイメージを強くして行きました。
しかもこの話にはまだ続きがありまして、実はロバート・ジョンソン、27歳の若さでこの世を去っています。
毒殺されたとも言われていますが、その正確な死因は不明。
これまた格好の噂の種となり、栄光と引き換えに悪魔に命を奪われたのだと言い出す人まで現れました。
現代のような、グローバルなメディアもインターネットも無い時代。
噂が噂を呼び、語り継がれ、真実は何処にあるのか、今となっては確かめる術はありません。
今ここにあるのは、魂を揺さぶるジョンソンの歌と演奏、そして伝説だけです。
それにしても、彼のブルースマンとしての急成長はどうやってもたらされたのでしょう?
まさか、映画「バックトゥザフューチャー」の様に、未来から来た男がこれから流行する楽曲をジョンソンの前で演奏して見せた・・・などと言うことは無いとは思いますが・・・。
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