気になるギタリスト72回目の今回は、今年3月惜しまれつつこの世を去った”ロックンロールレジェンド”。
あまりに伝説すぎる存在故に、その訃報が報じられた際には「まだ存命だったとは」と驚きの声が挙がった程の人物でございます。

恐らく、誰一人”レジェンド”という表現に異論を挟む人物は居ないであろうその方の名は「チャック・ベリー」。
ロックンロールの創始者。誰もが認める元祖ギターヒーロー。
ロックを愛する者にとって、神格化される程の超有名ギタリストです。

彼がデビューしたのは1950年台。
印象に残るギターリフ、メッセージ性の強い楽曲で当時の若者を中心に人気を獲得して行きました。
ミュージシャンとしてはもちろんなのですが、パフォーマーとしても一流。
独特なステップ(ダックウォーク)を踏みながら演奏するその姿は、彼のアイコンともなっています。
このダックウォークを取り入れた演奏/パフォーマンスは、「AC/DC」のギタリスト「
アンガス・ヤング」などの現代のアーティストにまで影響を与えています。

そして誰もが知る彼の有名な曲といえば、やはり「Johnny B. Goode」。
1958年にシングルとして発表されたこの曲は、全米ランキングにランクインするなどヒットを飛ばし、現代にまで語り継がれる名曲として知られています。
Johnny B. Goodeがロック界に多大な影響を与えているのは皆様ご存知の通り。
それは、数えきれない程のアーティストにカバーされていることにも証明されています。
The Beatlesやエルヴィス・プレスリーといったレジェンドから、Sex Pistolsや
Judas Priestなど、ジャンルを問わず世界中のアーティストにカバーされて来ました。

そして、このJohnny B. Goodeを大変印象付けているものとして思い浮かぶのが有名なイントロリフ。
スピード感があり、これから何かが始まると予感させるポップなギターリフです。
しかし実はこれ、Johnny B. Goode”だけ”に使われている訳ではございません。
若干のバリエーションはあれど、ほぼ同じイントロが多くの楽曲で使用されています。

エルヴィス・プレスリーにカバーされたことでも有名な「Promised Land」なども、似た様なイントロです。
イントロだけ聞くと、どれも似たようなもの。チャック・ベリーの曲はどれも同じ等と言う方がいらっしゃるのもこのイントロに理由があるのではないかと思います。
なぜ同じイントロが複数の曲に使われているのか。
その訳は、曲のイントロではなく、演奏開始の”合図”であるからなのです。
つまり、チャック・ベリーが次はこの曲というのをバンドメンバーに知らせる為の合図。
バンドメンバーはこの合図のキーを聞き取り、次はこの曲と言うのを判断していたという話なのです。
あの有名なリフの裏には、なんともミュージシャンらしい恰好よさがあったと言うことですね。
今や多くの音源が出回っているチャック・ベリーでありますが、同じ曲、同じ様な曲であっても、こうしたミュージシャンらしい彼のその時々の空気感の差みたいなものを感じ取りながら聞き分けるとさらに楽しめるのではないかと思います。
ロックンロールと同義である彼の名「チャック・ベリー」。
今はただ、その安らかな眠りをお祈りしたいと思います。
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