気になるギタリスト74回目。
今回取り上げますの方は、ジャズギタリスト。
ジャズの名手ではありますが、個人的にロックな魂を感じてしまうギタリストです。

その名手の名は「パット・メセニー」。
たとえジャズに興味が無い方でも「パット・メセニー・グループ」というバンド名を何処かで聞いたことがあるのではないでしょうか。
ソロ、グループ活動共に過去幾度もグラミー賞各賞に輝いた事のある、ジャズ界の巨人と言うべきギタリストであります。

キャリア40年以上を誇るパット・メセニーは13歳でギターを始め、独学でジャズギターをマスターしていったそうです。
にもかかわらず、十代後半にはバークリー音楽大学で講師を務めるまでになったというのですから、にわかには信じられない様な話でもあります。
独学という点が感じられる部分としては、独特なピックの持ち方が挙げられると思います。
彼がピックをつまむ指として使っているのは親指と中指。
人差し指はピックに添える様な形のみでほぼ使っていません。
世の中にはこうしたピックの持ち方をするギタリストもいらっしゃいますので、独特というよりは少数派と言えるスタイルかもしれませんが。
彼のこうしたスタイルを見る度に、ギターの弾き方、そのセオリーとは何だろうな?と改めて考えさせられてしまいます。

ジャズの名手と呼ばれる彼ですので、エレキギターを使う場合、そのサウンドはクリーン主体のスムースなギターサウンド。
使用するギターもIbanezブランドのシグネイチャーモデルを始めとするフルアコースティックギターです。

しかし、それだけに終わらないのが彼の凄いと感じると所で、Roland G303(ギターシンセサイザー)を愛用していたりもします。
もちろんこれは、シンセサウンドを楽曲に取り入れる為であり、ジャズギタリストとは思えぬ実に先進的な彼の音楽アプローチを感じさせる部分であります。
驚くべきテクニックにより紡ぎだされるジャズスタイルの速弾きとシンセサウンドの融合により、彼独特の世界観を持っているといえるでしょう。
ギターシンセの導入以外にも、彼の創造性、創作意欲は留まる事を知らず、2010年にはソロプロジェクトとして「Orchestrion Project」を開始。

これは、彼のギター以外の全ての演奏を機械仕掛けで行うという、ある意味”人間味”を否定したような驚愕のプロジェクトです。
デジタルミュージックさながら、機械とのコラボレーション。
これを一流ジャズギタリストがやってのけたというのが、何より興味深い所です。
その音楽的意義からしても興味深いと感じるこのプロジェクトですが、やはり驚いてしまうのは機械相手に演奏し切ってしまう彼の技量です。
当然ながら、機械が人間に合わせてくれることはしないのですから。
それでも音を楽しむかの様に超絶技巧を披露した彼。
音楽の道を突き詰めれば、人はここまで到達するのか。と唯々驚かされるばかりで御座います。
サウンドやアプローチはジャズであっても、音楽の世界の開拓者であり続けるパット・メセニー。
音楽を取り巻く環境が刻々と進化を続けている現代。そして、これから。
一体どんな音楽を生み出してくれるのか、依然目の離せない存在の一流ジャズギタリストです。
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