Fender社の代表的なモデルといえば、テレキャスターやストラトキャスターですが、同じように長年愛され続けているモデルに、ジャズマスターとジャガーがあります。
見た目は良く似ている両モデルですが、細かい所を見ていくと随分と違いのあるモデルです。
1958年に発表されたジャズマスターは、名前の通りジャズギタリスト達へ向けてFender社が開発したモデルです。

Fender USA / NEW American Vintage Series '65 Jazzmaster
当時、Gibsonレスポールモデルを愛用するジャズギタリストは居ましたが、テレキャスターやストラトキャスターを愛用するジャズギタリストが少なく、その状況を打破すべく開発/投入されたモデルでした。
新たに開発されたシングルコイルピックアップはP-90タイプのような大型の物で、既存のFenderシングルコイルに比べ甘く太いトーンを目標に作られました。
ボディに埋め込まれたトレモロユニットも新たに開発され、これは後のジャガーにも受け継がれて行きます。

Fender Japan / JM66
基本的にはフローティングセッティングでトレモロシステムをロックする事も可能という新たなアイディアで開発されたトレモロユニットでしたが、構造上チューニングの安定性は良いとは言えず、ボディに弦振動が伝わり難いという欠点もあり、あまり広まる事はありませんでした。
ピックアップセレクターにはトグルスイッチ、弦高とオクターブ調整が可能なチューンオーマチックブリッジと似た構造のブリッジが搭載されるなど、実に多くのアイディアが詰め込まれた新型でした。
一方、ジャガーは、Fender社、当時の最高級モデルとして1962年に登場します。

Fender USA / NEW American Vintage Series '65 Jaguar
ジャガー専用に設計されたピックアップは、太さを求めたジャズマスターと違いキレのあるサウンド。
コントロール類も一新され、ピックアップON/OFFスイッチやフェイズスイッチが搭載され、ピックガードの一部がメタル仕様になる等、その装備は豪華なものになっています。
面白い新機能としては、リアピックアップとブリッジの間に搭載されたミュートパッド。
しかし、機能的な問題から取り外してしまうギタリストも多かった様です。
こうしてみると双方の機能面での差異は明らかですが、それ以外にも細かい差異があります。
一見、よく似たボディシェイプのジャズマスターとジャガーですが、ボディ細部のRの違いがあり、正確には同一ではありません。
一番大きな違いとしては、ジャズマスターがレギュラースケールのネック採用であるのに対し、ジャガーはムスタング同様ショートスケールのネックを採用している所です。
これは双方のサウンドキャラクターの違いをより明確にしている点であるとも言えるでしょう。
長きに亘り、愛用するギタリストも多いジャズマスターとジャガーですが、1980~90年代、一世を風靡したNirvanaのカート・コバーンがジャガーを愛用した事で、ジャガー人気が再燃しました。
彼のジャガーはチューオーマチックブリッジへの変更やダブルコイルピックアップの搭載等の改造が施されているものでした。

Fender Mexico / Kurt Cobain Jaguar
今ではその改造ジャガーが一つの派生モデルとなり、ダブルコイルピックアップ搭載型やカート・コバーンモデルとして販売されています。

Squier by Fender / FSR Jaguar

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