「いつかは人前でギター演奏を披露したい」なんて事を目標にエレキギターを練習している方には必須とも言える課題が、立ってエレキギターを演奏する事だと思います。
基本的に全てのエレキギターにはストラップピンが装備されているもので、ギターを安定させる為に座った状態でストラップを使っても問題ないですが、本来ストラップによってギターを吊り下げ、立って演奏するのがその目的であると思います。

Mavis / MR-5500 BROWN
しかし、実際にストラップを利用し、ギターを吊り下げた状態にしてみると色々と問題に直面するかと思います。
先ずはギターを下げる位置。高さの問題ですね。
以前、
ストラップの長さという記事でギターを構える高さについて少し触れましたが、これは本当に千差万別です。ギタリストそれぞれに好みや弾きやすい高さがあり、まずは自分にとって弾きやすい高さや好みを見つけることから始めなければなりません。
色々なストラップの長さ/ギターを構える高さを試してみるのが一番ですが、とりあえずギターを構えた姿/見た目を度外視して、普段座った状態で練習しているのとほぼ同じ高さにギターを吊るしてみた状態を考えてみましょう。
ギターの種類によって若干違いはあるかと思いますが、このくらいの高さにギターを吊るすとネックとボディのジョイント部分が、大体おへその辺りに来ると思います。
座っている時と違い、ボディ下を自分の足で支えていない状態になるわけで、慣れないうちは不安定な感じがするかもしれません。
さらに、極端にギターを高く構えない以上、自然と自分の体に対しネックに角度が付くことになります。
もし、座って練習するときに、ネックをほぼ水平に構えて練習している方は、このネックの角度に違和感を覚えるかもしれません。
ネックに角度が付いた分、運指は少しきつくなり、感覚にも変化があるかもしれません。
これが立って弾く場合の弾き難さの原因の一つです。
ほんの少し弾いただけですぐ手が痛くなるなんて言う場合には、左手のパワー不足、運指練習不足と言った事が考えられます。
この問題を克服するには、ストラップを付け立った状態でギター練習をするのが一番の近道でしょうが、工夫次第では座った状態でもこのネック角度に慣れる練習は出来ます。
座ってギターを練習する時でもストラップをつけた状態と同等、もしくはそれ以上のネック角度で練習する事です。
次に右手ピッキングの問題です。
立って弾くとピッキングが上手く行かない。座った状態と手首の角度が変わるから?と言った悩みを持つ方も多いかと思います。
よくピックを当てる角度はどのくらいが最善か?なんて話題を耳にしますが、これは音質の問題であり一概に言えない問題だと思います。
弾きやすい弾き難いではなくなぜ音質の問題なのかと言うと、先ほどのネック角度の問題を考えてみると、ネック角度を増せばピックは鋭角に当たる事になり、水平に近づく程ピックの当たり方も水平に近づいて行く筈です。
常に一定のネック角度で弾くならいざ知らず、ネック角度が幾ら変わろうともピックの当たり角を一定に保とうとするならば、右手のコントロールが必要になってくるわけです。
そう考えれば、立って弾く場合に水平方向の手首の角度(親指側に手首を曲げるか、小指側に手首を曲げるか)は意識しなくても良いということです、座った状態同様、普段の右手角度で弾けば問題ありません。
それでも音質の問題を考え、ピックの当たり角度を意識するのならば、ネック角度を考えるか、水平方向の手首の角度をコントロールするわけですが、これはまた別の課題であるということです。
しかし、手首はある程度三次元に可動可能なわけです。
もう一方の動き、手首の回転運動方向の角度が意外と重要だったりします。
基礎的ピッキングは手首の回転を利用するフォームです。
しかし、ご存知の通りこの手首の回転は何処までも回転するわけはありません。
手の甲が上になった状態から手首の回転によるダウンピッキングしろと言っても無理な話です。
ですから、右手を自然な状態に構え、ダウン方向にもアップ方向にも手首の回転が利くようにしているはずです。
この右手の自然な状態が、座って弾く時と立って弾く時に違う(ピッキング運動の開始点が違う)と右手の負担は大きくなり、上手くピッキングが出来ないという状態を招きます。
ストラップをつけて練習するとピッキングが上手く行かないという方は、この手首回転運動方向の開始点を注意してみると良いかと思われます。
それでも上手く行かないという方は、
右手基礎練習を徹底する事をお勧めします。
基礎が固まり、余裕が生まれれば、多少の右手への負担が増えようが対応出来る様になってきます。
右手回転運動方向の開始点が多少狂おうが、問題なく安定したピッキングが出来る様になるはずです。
次に、こんな高くギターを吊るすのはダサい。ギターを低く構えたいんだ!って方。
何処まで低く構えるかにもよりますが、上記対処法がギターを低く構える程困難になって行きます。
ストラップの長さの記事でも触れましたが、特殊な動きや運動を駆使する必要も出てくるでしょう。
これら特殊演奏技能を手に入れるには、ストラップを付けギターを低く構えた状態でトレーニングするしかありません。
当然、座った状態でも練習する必要もあるでしょうし、それに加え特殊なピッキング法やギターを安定させる構え方等を鍛錬していく必要があるでしょう。その道は遥かに険しくなると予想されます。
それでも尚、ギターを低く構える道を追い求めるのならば、それはそれで見事であると思います。
おしまいに、自宅で一人楽しむだけだから、ストラップは要らないなという方。
ストラップをつけて演奏するという事は、何も人前で演奏するだけが目的でも無いのです。
ボディが安定し難い事やネック角度が変わる事による左手の負担増。ストラップをつけての演奏は、ある意味簡単に左右の手に負荷を与えられるという事です。
負荷を与えた練習を積むことにより、座った状態での演奏がより安定すると言う風にも考える事が出来ます。
普段ストラップを使わない方も、負荷を与える目的でストラップ活用してみるとギター演奏上達に繋がると思います。

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