一般的なエレキギターに用いられるネックスケールは、Fender系のロング(レギュラー)スケール(25.5inch・約648mm)とGibson系のミディアムスケール(24.75inch・約629mm)に分類されます。
それ以外では、Fender
ムスタング等に採用されているショートスケール(24inch・約610mm)も比較的見かけるネックスケールだと思います。
実は、これらネックスケールの数値は大まかな長さで、同じレギュラースケールといえども機種によって若干の誤差があったりもします。
弦全長とフレットの打ち込み間隔の関係を調整することにより、正確に648mmでなくとも凡そ正しく調律可能になるからです。(元々ギターという楽器は、構造上完全な調律にする事が難しい楽器です)
つまり、弦全長とフレットの打ち込み間隔の関係性を崩さなければ、色々な長さのネックスケールのギターが作りえると言う事にもなります。
子供向けやトラベルギターとして売られているショートスケールより短いネックスケールのミニギターが、おもちゃでなく楽器として成立しているのがその例だと思います。
逆に、人間工学的に許される限り、長いスケールのギターも作れる訳です。
市場で見かける事は少ないですが、こうした長いスケールのギターも販売されています。

Paul Reed Smith (PRS) / SE Mike Mushok Baritone
バリトンスケール(27inch・約686mm)/バリトンギターとして売られているものが、ネックスケールの長いタイプのギターです。
幾つかのアーティストモデルやカスタムショップ製品で見られるバリトンギターですが、特徴として弦全長を長くする事によりテンション(弦張力)を稼ぐことが出来、通常よりもより低いチューニングが可能になる利点があります。
単純に言えば、ヘヴィーメタル等で重低音が必要だという場合に力を発揮するギターだと言えます。
通常のギターよりも一オクターブ下げた調律を行ったり、全弦四度下げ(B-E-A-D-F#-B)等、張るゲージを調整することで様々な使われ方をしています。
レギュラーチューニングを一オクターブ下げた調律が可能と言う事は、六弦~三弦の音程はベースギターのレギュラーチューニングと同じになるわけで、如何に重低音が鳴らせるのかがなんとなくお分かり頂けるかと思います。

Gibson / SG Baritone
ここでちょっと気になるのは、全弦四度下げ(B-E-A-D-F#-B)チューニングにすると、最低音は六弦開放のB音になるわけですが、一般的な7弦ギターの最低音もBに設定してある事が多いという事実です。
より低い音程を求めて、バリトンギターで全弦四度下げにするならば、7弦ギターでも良いのではないかという考えも出来ますが、7弦ギターでは弦も一本増え、運指も変わります。
見かたを変えれば、バリトン化する事で通常のギターから簡単に低音ギターサウンドに移行可能と考える事も出来るわけです。
通常のギターと運指やコードフォームが併用出来るという強みがあると言う事ですね。
しかしながら、バリトンギターを用い調律を低音化すれば、当たり前ですが普通のギターよりも高音は出せなくなります。
そんな贅沢な悩みを解消するかのように、バリトンスケール7弦なんていうとんでもないギターも発売されています。

Cort / EVL-K57B
ここまで来ると最早別の楽器のような威圧感を感じますね。
重低音サウンドとアーティスト拘りの選択と言った感じで、あまり市場では見かけないバリトンギターですが、アイディア次第では面白いサウンドを生み出してくれそうなギターであると思います。

Epiphone / Robb Flynn Love/Death Baritone Flying V

石橋楽器店
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