ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その77。
今回は拡張された和音構成音。
コードの中のテンションについてです。
和音に含まれるテンションノートは、一般的な三和音や四和音にもう1つ音を加えて、さらに複雑な響きを生み出す方法です。

たとえば、このようなハ長調のトニックコード”CM7”に”D音”を加えた形。(C・E・G・B + D)
ただでさえ少し難しい響きのCM7がより複雑になる5音和音です。
(上記コードフォームの場合、低音部にC音とD音が集まってしまう形になるので、あまり綺麗な響きとは言えないかもしれません)
しかし、何でも良いから1音加えればテンションコードという訳でもありません。
当然、どの音を加えるべきかの目安はあります。

と言っても極簡単なものです。
ハ長調の音階を見て、ルート音から一つ飛ばしに音を拾っていけば各ダイアトニックコードになりますので、その間の飛ばした音程がテンションの候補となります。
すなわち、ハ長調CM7で言えば、その和音に含まれないD音が9th。A音が13thです。
さてここで、何故11th(F音)が省かれているのかという点ですが、これは以前とりあげました
C Ionianモードについてを見ていただくとお分かり頂けるかと思います。

CM7の3rd”E音”と11thに当たる”F音”とが
不協和音程の関係であるからです。
短9度関係は、伴奏とメロディーの間で気にするべき事柄でもありますが、コード内に含まれている場合でも問題です。
(ハーモニックマイナーのダイアトニックとして自然と生まれる形等、特別な場合を除く)
ましてやこのケースの場合には、コードの性質を決定づける3rdにぶつかる状態ですので、コード機能自体を損なってしまいます。
当然美しい響きにはなりえません。
従ってCM7に11thのテンションノートを付加するというのはありえないのです。
しかしながら、こうしたテンションコードに含まれる音程というものも、その時代によって変化をしてきたものでもあります。
クラシックと呼ばれる古典的な時代には主に9thのみが使われていましたが、それが徐々に11thや13thも使われる様になっていったという背景もあります。
それのみならず、CM7に11thが不協和になるのならば、♯11(F♯)を使えば良いではないかという考え方も生まれました。
”テンションはスケール内に含まれる音に限られる”等というルールはありません。
短9度関係になってぶつかってしまうのであれば変えてしまえば良いという大胆な考え方も現代にはあるという事です。
しかしながら、こうした場合には当然主旋律との関係も気にしなければならなくなりますので、スケール外のテンションをコード内に含ませるというのもなかなか難しい(手のかかる)事であるのは確かであります。
私としましては、(四和音でも難解なのに)テンションコード自体、なかなか使いこなせないものなのでありますが、こうした考え方や表現方法もあるのだと知っておいても損はないと思います。
この主旋律にはテンションが欲しいかもしれない?と使いどころを見つけられた時にはそれはそれで非常に楽しいものであると思います。
もちろんこうしたテンションの考え方は、和音のみならずフレーズを考える上でも役に立つものだと思います。
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