ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その78。
ギターコードなどでは良く”省略コード”というものが出てきますが、今回はその和音構成音の省略(omit)について。

基本的な3和音の中で省略される場合がある構成音を考えてみましょう。
和音の中で一番良く見かける省略音程はというと5度(omit 5)。
上記Cコードの場合ですと、G音が省略される場合があります。
ロックギターなどでは”Root+5th”のパワーコードが良く使われる事から、その五度音程を省略するとは少々意外にも思えますが、本来和音の性格を決定づける三度音は省略出来ません。
その中立的な響きを大胆に活用したのがパワーコードという発明なのでありますが、レコーディングされた音源などでは、他のパートが三度音程を鳴らしていたりもします。
基本的に三度は省略不可なのです。
ならば逆に五度音程は何故省略される事があるのか?と言いますと、五度音程は根音から見て倍音関係にある音程であるからです。
つまり、和音の響きとして、根音が在れば要は足りるとも言える音程なのです。

もちろん、五度音程に意味がある(コードの性格を決定する)場合には省略出来ません。
最も単純なところですと、オーギュメントコードなどは、半音高い五度音程にこそ意味がありますので、こうした場合には省略出来ません。
省略してしまえばコードの性質が変わってしまうという事です。
もちろん、パワーコードの様な解釈の仕方をすれば、他のパートが♯5thを鳴らせば良いとも考えられますが、それはそれで(和音全体としての)バランスを取るのがなかなか難しいかもしれません。

五度音程は根音の倍音関係。
これを逆に捉えれば、音程の低い五度音程ならば、ルートを省略出来てしまえるという考え方にもなり得ます。
実際、ルート音程の省略されたコードを利用する場合もありますので、こういう考え方も出来る訳です。
しかし、多くの場合。バンド形態であればベースギターが根音を鳴らしていたりもしますので、一瞬だけ、部分的に根音が省略された形が出てくると言う見方をした方が無難かもしれません。
もし仮に、アンサンブル全体で全く根音のない省略コードのみを演奏したとするならば、まったく成立しないとは言いませんが、一体何のコードを鳴らしているのか判りにくくなってしまうと思います。
単純に”3rd+5th”だけであれば、それが根音を省略したCなのか、それとも5度音程を省略したEmなのか、判別出来ないという事です。
しかしこれは理屈上のお話です。
パワーコードのみのライブ演奏でも、ボーカルのメロディーが乗ることによって格好良い音楽になる場合もあります。
音楽の先生には叱られてしまうかもしれませんが、大胆な省略コードがそこに必要だと感じるのならば、理屈抜きで感覚に従ってみるというのも一つの表現方法なのだと思います。
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