ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その15。
今回は、教会旋法(チャーチ・モード)についてです。
教会旋法とは、元々は教会で「主を賛美する為の歌(賛美歌)」に使用されていた音階で、現代音楽の基礎となったモード/スケールです。
ギターを演奏する上で出くわすであろう、リディアンモードやフリジアンモードと言ったスケールの事を表します。
現代音楽における長調(メジャースケール)や自然短音階(ナチュラルマイナースケール)もこの教会旋法に含まれます。
基本的に、教会旋法での音階構成音は、現代音楽における長調(もしくは自然短音階)と同じ「全・全・半・全・全・全・半」という音程分布であり、その何番目の音を中心と考えるか?基音と考えるか?でスケールに違いを生み出そうと言う考えかたです。
一般的なドレミファソラシで考えると、ドを主音として考えればハ長調(Cメジャースケール)になりますが、このまま、”音程分布を変えずに”Dを主音として考えたのが、教会旋法で言う所のDドリアンスケールとなります。
”音程分布を変えずに”と言う部分が大切で、Dメジャースケール≠Dドリアンスケールと言う事になります。

Dメジャースケールの構成音は、Dを主音とし、そこから「全・全・半・全・全・全・半」という音程分布になりますから、其の構成音はD・E・F♯・G・A・B・C♯・Dとなります。
ところが、Dドリアンスケールは、”音程分布を変えずに”主音をCからDに変えただけですので、その構成音は、D・E・F・G・A・B・C・Dとハ長調のスタート地点を変えただけとなります。
つまりは、Dメジャースケールの音程分布は、主音が変わろうともCメジャースケールと同じ「全・全・半・全・全・全・半」であり、Dドリアンスケールは長音階の音程分布が一つずれた形「全・半・全・全・全・半・全」になると言う事です。
少々ややこしい話になって来ましたが、ここで賢明な方は一つ疑問に感じるのでは無いでしょうか?
現代音楽におけるハ長調(=教会旋法で言う所のCイオニアスケール)と全く同じ音程分布/スケールでスタートをDに変えただけなのだから、結局の所、ハ長調/Cメジャースケールなのではないか?と。
まさしく其の通りなのです。
教会旋法におけるDドリアン・Eフリジアン・Fリディアン・・・どれもスタート地点が違うだけで、Cメジャースケールと同じ音階なのです。
教会旋法は、そのスタート地点(又は中心音)が変わる事による微細な変化を作曲の中に活かそうとした考え方でした。
ところが、所詮音程分布は現代音楽における長調もしくは自然短音階のそれであり、スタート地点を変えただけの極僅かなモードの違いは分かり難いもので、次第に廃れて行く結果となったのです。
そうして、現代音楽においては、長調であるイオニアモードと自然短音階であるエオリアモードが残ったという訳です。
しかし、一時廃れたこの教会旋法は、ジャズにおいてモードを調性と捉える使い方や、アヴェイラブル・ノート・スケールと呼ばれる考え方で再び利用される様になって来ました。
ギターを学ぶ上で、ミクソリディアンなんて言う言葉を見かける所以ですね。
とりあえず今回はここまで。
最後に、チャーチモードの呼び名一覧をまとめておきます。



Maestro by Gibson / Les Paul Standard

石橋楽器店
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