ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その83。
今回は少し特殊な音楽・リズム概念、”ポリリズム”についてです。
”ポリリズム”と聞いて、日本の女性アーティスト「Perfume」の楽曲を思い浮かべる方も多いかと思われますが、まさにあの曲こそ今回話題とする”ポリリズム”であります。
”ポリリズム”とは、リズムの異なる声部が同時に登場する楽曲の事、またその形態を表す音楽用語です。

簡単な例としては、上記の様な4/4拍子と4/3拍子、異なるリズムのフレーズが同時に演奏される楽曲です。

二つのフレーズを見やすくする為、4/4拍子の譜面に4/3拍子のフレーズを(循環させて)まとめてみますとこうなります。
この場合、両フレーズは共にに8分音符ですので、音の出るタイミングは綺麗にならびますが、リズムが異なる為フレーズの内容は徐々にずれていってしまう事になります。
しかし、これを繰り返していくと、4拍子と3拍子の最小公倍数である12小節で一巡する事になります。
徐々にズレて行く両フレーズが12小節目でぴったり始めに戻るのです。
これが簡単なところの”ポリリズム”であります。
しかし、リズムには7/8拍子などの特殊なものも存在します。
さらには、三連符の循環といったフレーズもありうる訳です。
こうなると、各フレーズの発音タイミングにもズレが生じる事となり、非常に複雑な楽曲になったりもします。
有名な所では、ショパンの「幻想即興曲」などが其の好例で、メロディと伴奏(右手と左手)が異なるリズムで演奏されている為、実に不思議な印象の楽曲となっています。
一瞬、適当に弾いているのではないか?とも感じてしまうところですが、これも何小節(時には何十小節)単位でみるとぴったり合うポイントが生まれています。
これを演奏するとなると恐るべきリズム感覚が必要だというのは容易に想像出来るかと思いますが、実際ポリリズムを取り入れた曲を演奏するのは大変難しいものであります。
しかしながら、変拍子が積極的に取り入れられたオルタナティブ系ロックが流行した頃などは、こうした”ポリリズム”の楽曲が多くみられました。
ギターとベースのポリリズムやギターとドラムのポリリズムなど、聞くものをあっと驚かせる様な楽曲も数多く存在します。
もちろん、奏者が人間でなくDTMならば簡単なのですが、人の手による演奏でも不可能ではないという事です。
音楽にはこうした自由な発想、アプローチの仕方があると知っておくと、また違った曲の聞き方・解釈の仕方が出来ると思います。
バンドアンサンブルなど、ご自身で考え創作してみるのも面白いかもしれません。
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