今回の気になるギタリストは、ロックミュージックの進化に多大なる影響を残したアメリカのロックバンド、「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)」の中心人物。
ボーカリスト/ギタリストである「ルー・リード」です。

1964年結成のヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、同じころデビューした「
デビッド・ボウイ」などにも多大な影響を及ぼしたとされる今や伝説的なバンドです。
その音楽性はというと、バンドの中心人物であるルー・リードの抜群のポップセンスを活かした芸術的な作風が特徴。
芸術的といっても色々ありますが、過激なギターサウンドやノイズを導入してみたりといった実験的な作品も多く残しており、後のパンク/ニューウェーブやオルタナティブに影響を与えたバンドとも言われております。

しかし、アートロックというものは多くの場合商業的に大成功するのは難しく、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドも同じような悩みを抱えていきます。
それでも新たな世界を生み出そうとするルー・リードは、バンドの楽曲に様々な音楽ジャンルや要素を取り入れて行きます。
皮肉な話ですが、マイナーな存在であったからこそ、自由に楽曲を生み出して行けたという背景があったのかもしれません。

その後のバンド活動においては、4枚目のアルバムが完成する前にルー・リードが脱退。
精神的に追い詰められた末の失踪だったと言われておりますが、バンドをけん引する立場としていつまでもマイナーな存在から脱却できないバンドの方向性などに苦悩があったのではないかと思われます。

それでも音楽に対する情熱を失ったわけではない彼は、バンド脱退後から2年の1972年。
ソロアルバムを完成させ、ソロデビュー。
とは言えこのアルバムの内容はヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代の未発表曲が中心となっている作品でした。

驚きなのは2作目。
なんとデヴィッド・ボウイと「
ミック・ロンソン」がプロデュースを担当するという、ヒットが約束された様なアルバム「Transformer」を発表。
実際ヒット曲を生み出し、ここからマイナー路線を脱却するかと思われたのですが。
もちろん、その後の作品でもヒットは生み出しましたが、彼の芸術的な音楽アプローチの炎が消えた訳ではありませんでした。

1975年に当時レコード2枚組で発表された問題作。「Metal Machine Music(邦題:無限大の幻覚)」。
なんと全編ギター多重録音によるノイズのみというまさしくアバンギャルドの極みとも言える作品です。
こうしたアイディア自体は多くのアーティストが考えるものかもしれませんが、それを実際にアルバムとして制作し、発売してしまう創作熱。
もちろんこのアルバムが爆発的なヒットを見せることはありませんでしたが、アーティストとしての存在感を世界的に、そしてその後の歴史に残す作品となった事は間違いないでしょう。
その後の彼は、90年代にヴェルヴェット・アンダーグラウンドの再結成なども挟みつつ、20枚以上のソロアルバムを残し、2013年に死去。
(バンドとしてもソロとしても)ロックの殿堂に名を残すと共に、ロックの歴史に大いなる影響を残しこの世を去っていきました。
どこかアメリカ人アーティストっぽくない芸術的アーティスト。
間違いなくロックレジェンドと呼べるお一人だと思います。
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