知っていると、少しだけためになるかもしれない小技。
段々、技でもなんでもない記事が多くなって来ているこのシリーズですが、細かい事は気にせず続けます。
今回の題材は、ピックを支える力についてです。
少々長ったらしい話になりますので、前・後編、二回に渡る記事となります。ご了承下さい。
ギターを上達する為には、様々な修練が必要となります。
素早い動きや押弦力の正確さを向上させる為、スケール練習等のフィンガリングトレーニングをしたり、正確なピッキングやより良い音を鳴らす為のピッキング動作のトレーニングなど、日常的に練習している方も多い事でしょう。
また、これらの練習課題は、ギター演奏に必要な諸動作をより良くコントロール出来る様に、その動作に必要な基礎筋力を鍛える目的も兼ねているとも言えます。
今回の題材、ピックを支える力というのは、フィンガリングやピッキング動作に必要な筋力を鍛えるのと同じように、意外と見落としがちであるものの、実は、ギター演奏には重要な力(筋力)其の部分についての話になります。
ピックを支える力と言っても、ピックをしっかりとつまみ、落とさない様に気をつけるのとは少し違います。
ここで言うピックを支える力とは、ピックで弦を弾いた其の瞬間、指へと返ってくる反動に負けない力の事です。

Planet Waves / Classic Celluloid Standard Pick Medium 0.70mm 
先ずここで、ピッキング動作というものを考えてみましょう。
ピッキングとは、静止状態(もしくは振動している状態)の弦を弾く動作でありますから、ピッキング動作を起こした右手で生み出された力がピックと弦との衝突を起こす事だとも言えます。
其の力の一部はピッキング動作方向に逃げると考えても、何割かはピックと弦との衝突の結果、反作用として右手に返って来ていると考えられます。
するとどうなるか?
当初、描こうとしたピッキングの軌道は衝突の際の反作用によって歪められ、其の力によって一瞬ピックのアングルや指を弾き返す事になる訳です。
野球でボールとバットのぶつかるインパクトの瞬間や、サッカーでボールを蹴る瞬間を想像すると分かり易いかもしれません。
ピックと弦の衝突によって、至極当たり前の現象が起きているとも言えるわけですが、さてこの時、どういった問題が考えられるでしょうか?
ピックを支える力が弱いと、反動でより大きくピックは弾き返される事になり、想定していたピッキング(アングルやスピード・タイミングなど)とは微妙にズレたものになってしまいます。
単純に言えば、ピッキングが安定し辛いという事ですね。
更に言えば、ピックを支える力が弱く、弦の反動にピックが大きく動かされてしまうのであれば、しっかりとしたピッキングは出来ていないとも考えられます。
サッカーで強いシュートを放とうと考えるならば、足首を固定する力が大切というのと似ているかもしれません。
加えて、反作用としての力は、ピックや支える指などだけに返る訳ではなく、ピッキング運動を行う手首などにも同時に負担を与える事になります。
これは、負荷として考える事も出来るわけで、一回や二回のピッキングならまだしも、繰り返し何度もピッキング動作をすれば、手首の回転運動などピッキング動作を行っている筋力への負担が増すことになります。
特に初心の頃などは、ピッキングの軌道も安定せず、ピックが深く当たったり、浅く当たったり、バラつきがちです。
しっかりつまんでいるつもりでも、ピックを落とし易かったりする原因でもあります。
ピックが深くあたれば、当然その反動も大きくなりますので、ピックを支える力も大きな物が必要となりますし、手首など運動を行う部位への負担も増えてしまいます。
そう考えれば、長く安定したピッキングを行う為には、バラつき無くピックを弦に当てる様、ピッキングの軌道を安定させ、且つ、ピックをしっかり支えられる力がある事が望ましいと考える事が出来ます。
後編につづく。

DigiTech / Element XP

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