ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その108。
今回は、以前取り上げた事のある、世界の音階。

その中でもフラメンコでよく使われ、アラビア音楽やエジプト音楽と似た雰囲気を持つ特徴的なスケール、スパニッシュ(スパニッシュ・フリジアン)スケールです。
前回このスケールを取り上げた際には、ざっと説明しただけでしたので、あまり良く分からなかったという方もいらっしゃったかと思います。
そこで、再度このユニークなスケールを取り上げてみた訳ですが、そもそも何故このスケールに”フリジアン”という
教会旋法における旋法名がついているのか?
スパニッシュスケール一番の特徴であるのは、第2音(C♯/D♭)からの第3音(E)への変化でありますが、仮にこの3音を半音下げたとすると、主音からの音程関係は半、全、全、半、全、全、全。
その状態から、主音を”C”ではなく、”E”とした形に変換してみると・・・

この通り、E音から始まるメジャースケール。
教会旋法で言うところのフリジアンスケールになるという訳です。
こうした部分から、スパニッシュスケールはフリジアンに似ているスケールという事でスパニッシュ”フリジアン”などと呼ばれております。

そして、問題のスパニッシュスケール。
Eフリジアンと第3音が半音違うだけのスケールにも関わらず、その印象変化は多大なるものです。
Eフリジアンと言っても、音程関係はCメジャースケールと全く同じ。
スケール開始位置が異なるだけの音階でありますが、スパニッシュスケールの場合それとはまったく違って聞こえるのが不思議です。

ここにダイアトニックコードの考え方を適用してみますと、当然メジャースケールとは異なる和音が出現します。
スパニッシュスケールのキーポイントである”G♯”が含まれる和音は、それぞれ”E”、”G♯dim”、”Caug”。
通常、Cメジャースケールで登場する”Em”が”E”へと変化しているのも面白いです。
さて。
一番最初に見た根音Cのスパニッシュスケールを見ると、非常にややこしい音階に映るものですが、”Eフリジアンスケールの第3音が半音上がった形”と捉えるとどうでしょう?
なじみのあるCメジャースケールをEからスタートして、その3番目だけが半音上がっているスケール。
見た目にも非常に簡単です。
それでいて、そこから紡ぎだされる音楽のインパクトは非常に強いものです。
現代は、DAW環境などで簡単に色々試せる時代ですので、ちょっと変わった作品が作ってみたいという場合にこのスパニッシュスケールを取り入れてみると面白いと思います。
Eフリジアンを基本に考えると、楽譜を見ながらでも簡単に扱えるスケールなのではないかと思います。
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