ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その109。
今回は、コード進行などを考える際に役立つ”反復進行”についてです。
まずこの”反復進行”とはどういうものかというと、あるひと固まりの和音進行(や伴奏/旋律)を一定の音程変化を経て繰り返されている状態の事を言います。
ちなみに、ドイツ語では「ゼクエンツ」などと呼ばれたりします。
とは言え、言葉にしてもただ難しいだけなので、簡単な例を見ていきましょう。

キーはハ長調。
Amから始まり、Dm、G、Cへと変化する、俗にいうII-V(ツーファイブ)を含んだ非常に良く有るコード進行であります。
ダイアトニックコードにおける”VI(Am)”は、機能的に見るとサブドミナントもしくはトニックの代理。
そこから、サブドミナントとしての機能を持つ”II(Dm)”へと移行し、ドミナントコード”V(G)”へ。
そして最後にトニックコードである”I(C)”へ移行と、機能的に見て文句のつけようがないコード進行であると思います。
しかし、これこそが、今回とりあげます”反復進行”なのです。

まず、このコード進行を一小節目と二小節に分割して考えてみましょう。
最初の一小節目は”VI → II”という変化。
続く二小節目は”V → I”という変化になっています。
つまり、全体を二つに分割してみると、一小節目のコード進行を2度下行させた形が繰り返されていると解釈出来る訳です。
故に”反復進行”と呼ばれる形であります。

反復される回数は、1回と決まっている訳ではありません。
上記の場合には2度上行を2回繰り返した形です。
さらに、上行、下行、この2度という変化についても縛りがある訳ではありません。
3度変化でも4度変化でも、少々特殊な循環する形でも、一定の変化を持った繰り返しが行われれば”反復進行”と言えます。
これら”反復進行”は、クラシックからポップ・ロック、ゲームミュージックまで、多くの楽曲に取り入れられている進行形態です。
この一定の変化が繰り返されるというのがポイントで、聞く者にドラマチックな展開だと印象付けられるのだと思います。
最初に少し触れましたが、コード進行のみならず、単音フレーズの伴奏やメロディに対してもその効果を発揮します。
意図せず曲が単調になってしまったと感じた場合には、こんな”反復進行”という考え方を作曲に取り入れてみると良いかもしれません。
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