本日は不定期記事「おっさんの戯言」。
突然ですが、都心から近く、有名な温泉地と言えば”箱根”。

豊富な湯量を売りにした、大小さまざまな宿泊施設や歴史ある名所。
都心からのアクセスもロマンスカー一本という便利さもあって、昔から人気の温泉地であります。

そんな箱根の名産品の一つに、”寄木細工”という物があるのをご存じでしょうか。
寄木細工を簡単に言えば、色柄様々な木材片を絶妙に組み合わせる事で見事な幾何学模様を作り出し、それによって木工製品を装飾するといった技術であります。
この寄木細工で装飾が施された品にも色々ありますが、順序通りギミックを解かないと開けられない、秘密箱などが有名です。
さて、もう少しこの寄木細工について詳しく見ていきますと、実は秘密箱の箱自体は普通の木材。
箱全てが寄木で形成されている訳ではありません。
寄木細工は、箱表面の1mmにも満たない薄さでしかありません。
作り上げられた寄木細工は、極薄のシートに加工され、それが張り付けられている造りなのです。
いわば、金太郎あめ方式で極薄木材シートを作り、木材表面の装飾に利用しているという訳です。
この木材装飾方法を聞いてギター愛好家の方は何かに気づきませんでしょうか?

エレキギターには、フィギアドメイプルやフレイムメイプル、バールトップなど、希少材をトップ材に採用したモデルが多々ありますが、高級な筈の木材を使用しながら楽器自体はリーズナブルという製品も多く存在します。
これは何故かと言えば、通常のトップ材の上に極薄の”希少材シート”(突板)を張り付けた構造により、高価な希少材の模様だけを利用した制作方法が取られているからであります。
寄木細工と同じく、少ない材料で見事な装飾を産み出す工夫であります。
では逆に、寄木細工はギターの装飾として転用出来ないのか?
実はこれ、既に存在します。

まさに、箱根は仙石原にある「箱根寄木細工楽器」さんの手によって、寄木細工を贅沢にあしらったギターが産み出されております。
もちろん、本体の中身は一般的なギター用木材。
寄木はあくまで表面装飾の為に使われているものです。
しかしながら、寄木細工自体が大変な手間と高度な技術を要する高級品でありますので、こちらのギターも相当な高級品。
軽い気持ちで手が出せない価格というのが悩みどころと言えるかもしれません。

それなら、せめてピックガードだけでも。
しかし、こちらもピックガードとしてはかなりの高級品。
しかも、傷が付く事が前提と言えるパーツですので、こんな物を装着したら怖くてギターが弾けないかもしれません。
日本の伝統工芸品とアメリカ生まれのエレキギターとの出会い。
どう考えてもエレキギターの方が本体であるにも関わらず、寄木細工の存在感が勝ってしまっている様な感じさえします。
是非、海外の方にも注目して頂きたい、素晴らしき芸術品であると思います。
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