ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その29。
今回は、これまで見て来た教会旋法の各モードとドミナントモーション時に使えるスケールを活用して、実際のコード進行に対して当てはめて行くという実践編です。
コードに対して使えるスケールの事をAvailable Note Scale(アベイラブル・ノート・スケール)なんて呼び方をする事もあります。
対象コードに対してAvailable Note Scaleを当てはめて行く作業という事になります。
単純なマイナーキーのコード進行を考えてみましょう。

キーはAマイナーです。
教会旋法に於いてマイナースケールの場合スタートはAeoriaモードですので、トニックコードであるはじめのAm7コードの部分には、A Aeorianが当てはまります。
同様に、サブドミナントコードDm7には、D Dorianが当てはまります。
さて問題は、短調でドミナントモーションを起こす為に加えられたドミナントセブンスコード、E7。
スケール内にトライトーンを持たないE Phrygianは使用出来ないと言うのは、
以前見て来た通りです。
E7から続くコードがマイナーである事、更にテンションノート指定が無い事を考えると、
前回確認した短調ドミナントモーション時に使える四つのスケール(H.P.5・ホールトーンスケール・Altered・Com Dimi)のどれか一つを当てはめれば良いという事になります。
一般的には、H.P.5スケールが使われる事が多いので、ここは、E H.P.5としましょう。

各コードに対するAvailable Note Scaleが決まった所で、後は自由に(AVOIDノートに注意は必要ですが)メロディーやフレーズを創作していけば良いという事になります。
前々回の
記事で、教会旋法同様の手法でペンタトニックスケールを当てはめるという事にも触れましたので、今度はこのコード進行にペンタトニックスケールを当てはめて考えてみましょう。
始めのAm7には当然、Aマイナーペンタトニックスケールという事になりますが、これはCメジャースケールも同一のスケール構成音ですので、どちらかを選択出来ると言う事となります。
同様に、Dm7にはDマイナーペンタトニックスケールかもしくは、Fメジャーペンタトニックスケールを当てはめます。
次にドミナントセブンスE7ですが、ペンタトニックスケール内にトライトーンは含まれませんので、Eメジャーペンタトニックスケールではドミナントモーションを起こすには不足です。
したがって、この部分には教会旋法の考え方を利用して、短調ドミナントモーション時に使えるスケールを流用します。

注意する点としては、教会旋法の基本的な考え方に”和音と音程的に融和し易いスケールを用いる”というものがあります。
しかし、ペンタトニックスケールを使う場合には、伴奏コードとの音程が開き過ぎるケースが起きやすいとも考えられます。
根音の違う、同じ構成音のペンタトニックスケールを利用するならば尚更です。
クラシックの場に於いては、アンサンブルの中で極端な音程の開きは忌避される傾向にあります。
これは単純に、アンサンブル全体としての響きが美しくならないと言うのがその理由です。
しかし、少数編成のバンドサウンド/ロックの場ではそこまで気にする必要もないと考えられますが、時に伴奏とフレーズの音程が開き過ぎないようフレージングを創作してみるというのも、音楽創作の面白味であり一つの方法です。
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