気になるギタリスト47回目の今回は、日本のパンクロックシーンを長年支え続けて来た大ベテラン、「THE MODS」のギタリスト「苣木(ちさき)寛之」氏です。

1981年デビューの「THE MODS」は、80年代日本のパンクロックシーンの最中、乱立するパンクロックバンドの中で頭角を現し、以後30年以上の長きにわたり現役で活動を続ける日本パンクロックの大御所的なバンド。
アンダーグラウンドでの活動がメインというパンクバンドも多い中、メジャーデビューを果たしたTHE MODSは、その曲がCMやドラマ主題歌に使用される等、人気ロックバンドとして活躍し続けて来ました。
その、不動のギタリストとして活躍を続ける苣木氏は、トレードマークとも言えるリーゼントヘアーと共に怒涛の時代を駆け抜けて来たベテランギタリストです。

ステージだけでなく、作曲やサウンドプロデュース、時にはボーカルと大車輪の活躍を見せて来た苣木氏。
リーゼントヘアーと並んで、彼のもう一つのトレードマークと言えるのが、俗に”Black Beauty”と呼ばれるGibson Les Paul Custom。
長年、1960年代後半の復刻期の物と思われる黒のレスポールカスタムを愛用しています。
愛機を構えるその姿は特に印象的で、レスポールカスタムの似合う日本人ギタリストは?と考えた時に、必ずや名前が挙がるギタリストであると思います。
数多くのステージを苣木氏と共に歩んできたレスポールカスタム。故障個所を修理して行く過程で様々なパーツ交換がなされており、所々塗装がはがれたその姿は今や歴戦の勇士と言った風貌となっております。
傷一つ無い新品同様のギターも良いものですが、苣木氏のレスポールカスタムの様に実際に使い込まれ、歴史を刻んできた姿のギターというものはまた違った迫力があり、一種独特のオーラの様なものすら感じる事が出来ます。
アンプはFender等を利用し、セッティングもギターとアンプ本来の良さを引き出す様なシンプルな物を愛用。
ストレートなロックを追及してきた方だからこその拘りであると感じられます。
伝説のオーバードライブペダル、
KLON CENTAURをブースター的な役割で使用しているという記事も見た事があります。
伝説のペダルをあえてブースターとして使用しているという贅沢な使い方。
プロならではの音への拘りが感じられる格好良い逸話です。
逸話と言えば、これは少々古い話になりますが、苣木氏がTV出演した時のお話。
苣木氏の演奏スタイルの特徴として怒涛のダウンピッキング(ダウンストローク)が挙げられるのですが、ご本人曰く、このダウンに特に拘りを持っていらっしゃるというお話でした。
アップダウンなら楽である所を、どんなにテンポアップしようとも、あえてダウンのみで弾ききる。
ギターを嗜んでいる人間ならば、これが如何に凄い事であるか直ぐに分かるのですが、一般の方から見ると「下手くそが一生懸命弾いている」と見られてしまうなんていうお話をしていらっしゃいました。
そんな不名誉な見方をされていると承知の上で、拘りを貫く苣木氏の姿は真のロッカーであるなと感じたものです。

2014年。THE MODSとしてもニューアルバム「ROCKTIONARY」を発表した苣木氏ですが、5月には自身のソロプロジェクトDUDE TONE名義でセカンドアルバム「十字路のGuitar」を発表しております。

同じ時代を駆け抜けたバンド「THE ROOSTERS」のギタリスト花田裕之氏も参加したこのアルバム。THE MODSの時とは違う苣木氏のベテランならではの”味”が存分に生かされたアルバムとなっております。
ブームの終焉と共に多くのパンクロックギタリストが姿を消して行きましたが、今も尚現役でロックし続ける苣木氏の姿。
その勇姿は、愛機レスポールカスタムと共にこれからも語り継がれていく事でしょう。

Gibson / Les Paul Custom Ebony

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