ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その33。
これまで、良くある転調のパターンとして3つのパターン((平行調・近親調・(下)属調平行調))を挙げて来ましたが、ではそれ以外の転調はあり得ないのでしょうか?
もちろんそんな決まりは無く、おかしく聞こえなければどんな調性への転調も有りうる訳です。
中には、インパクト大の面白い転調が行われているケースもあります。
おやじ世代の知るアニメーションと言う事で若い方には分かり難い例で申し訳ありませんが、日本の古いアニメーションに「UFOロボグレンダイザー」という作品があります。

「デビルマン」や「マジンガーZ」等の作品で有名な永井豪先生原作のロボットアニメーション作品です。
UFOだのロボだの完全に昭和臭漂う作品ですが、当時の子供たちには大人気となり、日本のみならず海外でも人気となるほどでした。
TVアニメ化されたUFOロボグレンダイザーには、当然番組オープニングで流れる主題歌が作られました。
今日アニメソング界の大王と呼ばれる「ささきいさお」氏によって謳われたこの主題歌。
イントロから「ゆけ~ゆけ~デュークフリード」とシリアスなメロディーへと続きます。
ところがこの主題歌、曲中のある場面から一気に雰囲気が変わります。
シリアスな曲調は一転、「地球はこんなに~」と明るく希望に満ちた雰囲気へと変わります。
初めて聞いた時にはギョッとしてしまう程の変化。
子供心になんだかおもしろい歌だなと特に印象に残りました。

そう、この部分こそUFOロボグレンダイザーの主題歌に特別なインパクトを与えている”転調”が行われている部分であります。
曲の始まりはヘ短調(Fマイナー)。
どこか重苦しい雰囲気のシリアスな曲調で始まります。
「地球はこんなに~」からの部分は、ヘ長調(Fメジャー)へと転調されています。
良く有る平行調への転調ならば、ヘ短調(Fマイナー)から変イ長調(A♭メジャー)へ転調と言う事になりますが、この曲の場合は、Fマイナーから同主調であるFメジャーへと転調されています。
これが、聞く者に一気に曲の雰囲気が変わった印象を与え、結果、大変インパクトのある曲になっております。
この曲の場合、良く有る転調の形で頻出するドミナントモーションを利用した形ではなく、Fメジャー・Fマイナー(和声短音階)双方のダイアトニックコードに存在するCメジャーコードを上手く使い、流れる様に転調させています。
少し変わった転調とコード進行の工夫で、インパクトのある特別な曲に仕上げられているという訳です。
セオリーに縛られない創意工夫。著名な作曲家のセンスや技術を感じられる例だと思います。
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