変形ギターと言えば、奇抜なデザインのギターを指す言葉ですが、そんな変形ギターというジャンルを作り出したと言えるのが、ロックギター伝説のブランドGibson。
ライバルフェンダー社との苛烈なシェア争いに勝利すべく、Gibson社は1957年、米国特許商標庁に三本のギターを登録申請します。
一本目は、今や変形ギターの定番となったフライングV。

Gibson Custom Shop / 70s Flying V VOS Classic White【チョイキズアウトレット品】
インパクトのあるボディシェイプは、ステージ映えすることもあって、多くのロックギタリストに愛好され、現在まで変形ギターの王とも呼べる地位を獲得しています。
世界各国のギターメーカーが、こぞってコピーモデルや派生品を生産している事からも人気の高さが伺えます。
実際に目にしてみるとかなり大型のギターに感じます。
弱点としてバランスの問題があり、ボディ材によってはヘッド側が落ちやすく、立って演奏するにはコツが必要な個体もあります。
二本目のギターは、フューチュラ。後に、エクスプローラーとして製品化され、これまた変形ギターの1ジャンルとなったギターです。

Gibson USA ギブソン / 2014 Limited Run Explorer 120 Ebony 《S/N:140099729》
大柄なボディーに似つかわしくなく、実はバランスが良く演奏しやすいと言われるエクスプローラー。薄く仕上げられたボディがその一因でしょう。
こちらも多くのプロギタリストに愛好され、世界的に人気の定番変形ギターとなりました。
三本目は、上記二本ほど有名になりきれなかったモダーン。

Gibson / MODERNE XI Ebony
1950年代当時、モダーンはカタログに載っていなかった事もあり、プロトタイプ以外で実際に製品化されていたのかと議論されている謎の機種です。
コンパクトにまとめられたボディに、フライングVとエクスプローラーの良い所を併せ持ったようなデザイン。
有名になりきれなかった背景には、上記理由に合わせ、実はこのコンパクトと言う部分があったのではないかなと私は感じます。
しかし、定番化しなかった事で逆にレア度は増し、熱狂的なコレクターの間で、伝説の機種として扱われるようになりました。
こうして世に放たれた三本の変形ギター。
ところが発表当時は、その奇抜なデザインが世に受け入れられる事はなく、時代が追いつくまでに10年以上の月日を要しました。
初期生産本数も少なく、どのモデルも生産中止期間もあったこと等から、ビンテージ品にはオークションで驚きの価格が付くことも珍しくありません。
50年以上も前に、これら変形ギターを世に送り出したGibson社の先見性には先ず驚きますが、時を経た現在でも愛好される「変形ギター」と言うジャンルを、まさかこの三本が作り出すことになろうとは、当のGibson社も思いもよらなかった事なのではないのでしょうか。
ちなみに若い頃の私は、変形ギターの良さが分かりませんでした。
たとえ好きなギタリストが使用していても、変形ギターが良くは見えなかったのです。
ところが歳をとって行くほど、なぜか変形ギターが気になり出しました。
なんなんでしょうね?この感覚。
私の古かった頭が長い年月をかけて、やっと時代に追いついて来たのでしょうか。

Charvel / Desolation Star DST-1 ST

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