ギターを弾く上で知っておくとお得な楽典その42。
ギターに限らず、音楽をやって行く上でほぼ必ず出てくる”和音”という概念。
ある音程とある音程を同時に鳴らし、単音とは違う雰囲気の響きを導き出す方法です。
ギターを演奏する上でも、ギターコードという形で触れる機会の多いこれら”和音”。
基本的なメジャーコードやマイナーコード、更に複雑な4音以上のコード等、様々な形態の和音が出てくるものです。
それだけ身近な存在と考えられる和音/コード。
しかし、普段ギター演奏をしていると何となく付き合ってはいるものの、和音それぞれの差や雰囲気の違い等、実はあまり良く分からない。という事もあるのではないかと思います。
そこで今回は、極単純な”和音”利用し、実際に聞いてみる事で色々なコードの雰囲気を確認してみようという内容です。
あまり低い音同士の和音ですとその響きが分かり辛い場合もあると思いますので、ここではレギュラーチューニングのギター五弦(A音)を根音/ルートと考え進めて行きたいと思います。
更に今回、より和音(/音の上に音が積み重なる)というものをより分かり易くする為、メジャーコード=三和音/トライアドという概念を一度忘れて、ルート音にもう一音加えた形で和音を見て行こうと思います。
それでは、先ず初めに開放弦同士の組み合わせ。
五弦と四弦とを同時に鳴らせば、ルート(A音)と完全4度(D音)が合わさった和音になります。
ここから更に五度音程(この場合E音)が加われば、Asus4コードとなるのはお分かり頂けるでしょう。
しかしこの場合、A音から見て完全4度音程であるD音は、仮にそのD音をルートとして考えるとA音は完全5度音程であると解釈出来ます。
つまりは、D音をルートとするならば+完全5度A音=五度コード(パワーコード)を
転回した形と見る事も出来る訳です。
なので、実際のsus4コードよりもパワーコードに似た響きと捉えられるかもしれません。
続いて、五弦開放と四弦2フレットを押さえた状態で鳴らすと、ロックミュージックで良く使われる五度コード(パワーコード)となります。
コードの調性を決定付ける3度音程が省略されている事から、楽典的には和音として不完全であるとされてしまいますが、ことロックギターに於いてその力強い響きを聞けば、多くの場面で利用されて来た事に納得出来るものだと思います。
更に四弦の押弦フレットを高くして行きます。
五弦開放と四弦4フレットを組み合わせてみましょう。
これは、ルート音(A)+長6度音程(F♯音)となりますので、この音をメジャーやマイナートライアドの上に加えればシックスコードとなる音程です。
シックスコードはマイナーセブンスと同じ構成音関係。転回すれば別ルートのマイナーセブンスとなるコードです。(この場合ならA6=F♯m7)
加えたF♯音をルートとして考えると、A音は短3度関係にある音程です。
したがって、省略した形の和音であるとしても、何処かマイナー感を感じる響きになっていると思います。
そして、押さえる指をもう一つずらして四弦5フレットを押さえれば、ルートに短7度(G音)を加えた和音になります。
もちろんこれは、ドミナントセブンス/マイナーセブンスに加えられる良く使われる音程。
ルート+短7度音だけですので、5度音程を省略し調性も分からない形ですが、独特な響きが感じられる音程関係になっていると思います。
さて、このルート音+完全5度・長6度・短7度とそれぞれ特徴を感じられる組み合わせ。
上記の様な定番のフレーズでロックやブルース等で良く利用されている形です。
この印象的なフレーズは、コードを考える上で重要な音程を行き来する形で作られたものである事がわかります。
音程同士が開きすぎてしまうと徐々にその響きは美しいものであるとはされません。
ルート+長7度=転回すれば半音関係にある音同士ではやや濁りが感じられるものとなって来ます。
しかしこれも、メジャーセブンスに付与される音程でありますので、3度や5度音程が加わると立派なコードとして扱われる訳です。
更に押弦フレットを一つずらせば五弦開放の一オクターブ上のA音、オクターブユニゾンとなります。
オクターブ上(下)、完全8度の音程は特別な響き。
音程の開きがあっても美しく響きます。
オクターブ奏法が多くの楽曲で印象的なフレーズとして利用されるのも、こうした特別な響きの和音であるからです。
こうして分解してみていくと、たかが2音されど2音。実に表情豊かに聞こえてくるのではないでしょうか。
そんな響きの違いに着目していくと、理論上使えるからそのコードを当てはめるのではなく、音を大事にしたコード進行を産みだす事が出来るかもしれません。
簡単な音の組み合わせだけでも音楽とは斯くも楽しいと感じられるものです。
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